研究課題/領域番号 |
20K10595
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研究機関 | 関西福祉大学 |
研究代表者 |
掛田 崇寛 関西福祉大学, 看護学部, 教授 (60403664)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 看護ケア / 鎮痛 / 疼痛管理 / 情動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は健康成人を対象に、快情動を研究対象者に誘導することによって鎮痛ケアの効果が向上するか否かを実験環境下で検証することである。本研究では心地よいという情動を意図的に誘導する。鎮痛効果を有するとされる看護ケアの効果が情動調節によってさらに向上するのであれば、看護師による鎮痛ケアの技術能力と同等又はそれ以上に対象者の情動を整えることの重要性を提言できる。また、こうした効果の実証は疼痛管理及び鎮痛ケアにおける新たなエビデンスとなる。具体的には医療機関等の臨地で行われているマッサージやアロマセラピーといった疼痛緩和を目的とした種々の看護ケアによる効果を、その対象者の情動変化に着目して検証を行っていく。本研究では臨床患者の多くがかかえる痛みに近似した痛覚を種々の刺激装置を用いて誘発し、ケアの効果と快情動の誘導による相乗効果が得られるか否かを明らかにする。研究の指標としては痛覚閾値や身体的ストレス物質の他、心理テスト等を用いて対象者の情動も計測することで、多角的に評価していく。すなわち、本研究では看護ケアによる鎮痛効果発現において対象者の情動が深く関与しているということを仮説立て、焦点化し、鎮痛ケアの効果が肯定的な情動誘導で相乗されるか否かを明らかにする。仮に、快情動を意図的に誘導して鎮痛効果の向上が期待できるのであれば、看護師による患者の痛みの管理において、意図的に対象者の情動調節の重要性を示すことできるだけでなく、新たな疼痛管理手段の提言にも寄与すると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大や対面形式での研究データ収集を当初考えていたことから、進捗に影響が出ている状況にある。また、研究の指標についての検討も必ずしも順調ではない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はCOVID-19の研究への影響を鑑みながら、研究の実施を着実に行えるように週末での実施や対象者の都合に極力合わせて進めて行く。また、昨年度の状況から、夏季は冬季に比して感染拡大が抑えられる印象を持っているため、集中的にそうした時期においてもデータを収集できるように調整していく。さらに、コロナ禍にあっても研究が円滑に進められるように、研究対象者が感染の危険を極力感じることなく参加できるように実験室の感染防止策を徹底する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大に伴って研究計画及び研究データ収集に対して支障を来した。また、情報収集旅費及び研究発表に関連する旅費の執行も滞った。同様に、COVID-19の感染要因にもなり得る指標として唾液検体等を当初考えていたが、安全に検体確保することを検討した結果、その採用に関しても躊躇・苦慮した状況が続いた。さらに、研究対象者との対面形式でのデータ収集も当初考慮していたことから、計画全般を再考する必要が生じた。よって、研究の実施に際してはCOVID-19の感染拡大状況にもよるが、少量で評価可能な唾液指標への変更や、これまで行っていなかった週末や平日の講義時間以外の時間帯でのデータ収集を行うことで研究の推進をはかっていく。
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