研究課題/領域番号 |
20K10626
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
宇野 智子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (60576180)
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研究分担者 |
矢野 理香 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (50250519)
山口 博之 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (40221650)
大久保 寅彦 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (90762196)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 接触感染 / 入院患者 / 看護 / 生菌数 / Adenosine triphosphate |
研究実績の概要 |
本研究は、患者の周辺環境への接触とその接触面での細菌の生存を具体的な患者の日常生活動作(ADL)レベルを精査し、適切な看護実践(環境整備)へ応用することを目指す。医療施設において、病原体は手指やその他の媒介物による接触を介して、感受性のある人に移動する可能性があるため病原体で汚染された環境表面は接触伝播経路で重要な役割を果たすと考えられている。環境表面の中でもベッド柵、オーバーベッドテーブルやベッドコントローラーなどは、日常的に患者や医療従事者の手指が接触する機会が多く、接触感染を媒介する可能性が報告されている。このような患者周辺の環境に着目した環境調査研究を計画した。 2020年度の本研究の目的および研究実施計画は、微生物汚染度を把握するためにATP測定法および生菌数での精査を実施予定であった。COVID-19の影響を受け、患者周辺環境の調査が困難であった。そこで、入院患者のベッド周辺環境が接触感染の原因である可能性の検討および、ベッド周辺環境のどこがどのように汚染されると感染が発生するのか、患者の日常生活動作を加味し、準実験研究を実施した。実験は、模擬病室で模擬患者に日常生活動作レベルが異なる動作(ベッドから車いすへ移乗)を依頼し、ベッド周辺への手指接触面の微生物汚染度をATP測定法を用いて検討した。その結果、模擬患者のADLレベルの差異と周辺環境への接触面積の関連はなかった。ATP値で評価した微生物汚染度は、ADLレベルが高くなるほどATP値は高値を示した。本結果は、模擬患者のADLレベルの差異とベッド周辺環境の汚染度に関連がある可能性を示唆すると考え、入院患者周辺の環境調査の必要性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の影響を受け、病院での調査が困難な状況である。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り環境調査の可能性を検討するが、患者の日常生活動作レベルに着目した準実験研究も視野に入れ、研究の目的が果たせるよう推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、COVID-19の影響を受け、調査が遅延したこと、研究成果の発表のための学会もオンラインでの開催であり、当初予定していた旅費等が不要となったため次年度使用額が生じた。 次年度の使用計画は、環境調査の可能性を検討し、可能な場合は、生菌数およびATP値を指標とした調査を実施する物品購入を行い、研究を遂行する。また、2020年度に実施した準実験研究の成果を学会で発表するための旅費と論文作成発表に関わる経費に充てる。
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