研究課題/領域番号 |
20K10629
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
青木 慶子 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (20456552)
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研究分担者 |
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
井上 真智子 浜松医科大学, 医学部, 特任教授 (80609090)
斉本 美津子 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60347383)
金子 惇 横浜市立大学, データサイエンス研究科, 講師 (80825076)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 診療所看護職 / 卒後教育 / 研修会 |
研究実績の概要 |
COVIC-19感染症蔓延による地域医療のひっ迫および予防接種等の業務多忙により積極的な研究協力を依頼し辛い中、感染状況が落ち着いている時期に県内のプライマリケアを展開している診療所を複数視察し、診療看護師、診療所院長および看護管理者、地域支援部門看護管理者からヒアリングすることができた。限定的な視察・ヒアリングではあるが、①患者のケアニーズによる高度なケア実践の必要性、②継続教育に対する管理者の理解、③診療報酬の改定 などが明らかとなった。尚、海外視察については、渡航制限が長期化していることより研究期間内での渡航は困難と考えられ、視察・ヒアリングの代替手段を検討している。 上記に示すように診療所看護職における継続教育の現状事象は僅かであることから引き続き国内外の地域医療に従事する看護職の卒後教育に関する文献から診療所看護職に対する教育ニーズと求めらえる看護実践能力の内容分析を行った。高度実践看護師のような専門性のある看護職は、患者や利用者へ直接ケアするための看護実践力を培うため積極的な自己学習をしており、質の高いケア提供ができる資質保持ができるような免許更新制度の中に継続教育がシステムとして組み込まれている。しかし、地域医療に従事する一般の看護職の知見を示す文献は少なく、今後も規模を拡げて文献探索していく予定である。 2020年度に中止した診療所看護職対象の研修会をオンラインで開催したが、これまでの参加申込数よりも20弱減員した。申込減少の要因として、①業務繁忙による休息確保の重視、②学習意欲(内発的・外発的)の低減、③ICTツール活用の抵抗、④研修内容の無関心 が考えられた。継続教育に関心のある診療所看護職の学習意欲を低減した因果関係を推測して、診療所看護職の研修会参加に結び付く要素を踏まえた研修会企画および新たな個別支援プランを考案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVIC-19感染症の蔓延に伴い、繁忙した地域医療の現場で従事している看護職への負荷を考慮して直接接触を2年以上控え、感染状況が落ち着いた時期や地域を限定して今年度から県内のみ視察を始め、ヒアリングも少しずつ再開している。現在、視察2施設(診療所)、ヒアリング(地域支援部門看護管理者1名、診療所院長2名、診療看護師(NP)1名、診療所看護管理者3名)を実施している。進捗状況としては研究実施計画から1年以上遅れており、遅れた計画進行を最終年度で可能な限り取り戻すように調整し、本研究の研究計画書(混合研究法:フォーカスグループインタビュー・アンケート調査)を作成して本学倫理審査会の承認を得た。 集会形式で開催していた診療所看護職対象の研修会を2021年度は非対面のオンライン形式に変更し、2020年度に中止した企画(外国人患者に対するコミュニケーションスキル向上)を開催したが、これまでの参加申込数よりも20弱減員したため、この申込減少を要因分析して診療所看護職の研修会参加に結び付く研修会企画および新たなサポートを実施する必要性が生じた。 上記に示すよう研修会の申込が少なかったこと、オンライン研修開催による地理的制限がクリアになることから、対象地域をこれまでの浜松市から全国に拡大した。参加した全国の診療所看護職からの好評と今後の受講希望を受けたことから、次年度以降もオンラインで研修が受けられるような形式(ハイブリット含む)で開催する予定であり、診療所看護職に対する研修会開催を全国規模に拡げて周知する活動を展開している。
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今後の研究の推進方策 |
直接接触が必要な状況を除き、引き続き非接触のコミュニケーションツール(web会議やメール、電話等)を有効活用してCOVIC-19感染予防対策をとる。 ヒアリングや視察で得た追加事象と文献等で明文化されている内容を結び付けて自己啓発・自己研鑽に関する要素から概念抽出し、本研究に必要な調査項目をリスト化し、研究分担者とともに検討する。 調査の実施については、研究協力者の本業に支障がなく、COVIC-19感染症蔓延に伴う行動制限や感染症状況に応じて感染対策を徹底しながら対応する。研究協力者は機縁法および研修会参加者にリクルートし、対象エリアを全国に拡大する。進行予定としては、1年以上遅れているフォーカスグループインタビューを次年度前半、アンケート調査を次年度後半に実施できるように準備中である。 次年度はオンライン研修の受け方がわからない診療所看護職への個別フォロー支援を研究分担者と共同して行い、研修内容を診療所看護職が最も関心のあるテーマで全国規模で開催予定である。そのため、全国の診療所看護職に研修会開催を広める周知活動を行う予定である。 海外の渡航制限が長期化していることから研究期間中での海外視察は困難と思われ、代替手段としてWEBカメラ経由でのヒアリングや撮影が可能かを受入れ予定の管理者に問合せることを検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度もCOVID-19感染症の蔓延に伴う緊急事態宣言発令に伴い、研究分担者や研究協力者との打合せや視察およびヒアリングが静岡県以外の国内および海外では困難だったこと、参加予定していた学会がハイブリッドまたはオンライン開催となったことで旅費の執行額が少額になった。次年度はハイブリッド開催の学会に発表予定があり現地に出向く予定である。 上記に示すように、COVID-19感染症による地域医療が緊迫している状況下では調査できなかったため、研究協力者に支払う謝金や交通費の支払いがなく、次年度に実施するように調整中である。
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