研究課題/領域番号 |
20K10642
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
藤内 美保 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (60305844)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 看護における臨床推論 / 臨床判断 / 看護基礎教育 / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
研究課題は、看護基礎教育における臨床推論能力を向上させるための教育プログラムを開発することである。看護における臨床推論能力とは何かをまず検討する必要性があり、文献検索を行った。臨床推論は医学領域では長い歴史があり議論され定着している。一方、看護領域における臨床推論の研究は近年で定義も明確ではない。医学中央雑誌Web版(Ver.5)のデータベースを使用し、「臨床推論」and「看護」をキーワードに、条件を「原著論文」「抄録あり」「解説・総説」で検索した結果38件ヒットした。除外条件の結果13件を抽出し分析対象とした。一番古いものは2013年であり1件が抽出され、臨床推論は看護での知見は浅いと考える。筆頭者の職種は看護師が6名、医師が5名であり、医学の知見を看護領域に導入する時期と考えられる。文献が対象とする看護職は「病棟看護師」6件「救命救急看護師」5件であった。ここ数年で臨床看護師向け、特に救命救急領域が増加し臨床推論能力の必要性を示唆していると予想される。 もう1つの研究として、令和4年度から指定規則改正により看護基礎教育における臨床判断能力の向上が打ち出された。臨床推論の強化は適切な臨床判断につながる。そこで、看護系大学の臨床判断の教育計画、強化内容、目指す到達度等を明らかにして整理・分析することで、臨床判断能力の向上のための教育の示唆を得ることを目的とした。全国の看護系大学の基礎看護学領域の教員1名の計290名に無記名自記式質問紙調査をした。調査内容は、臨床判断の科目設定や教授内容の必要度、到達レベルや評価方法等である。結果、既存科目の看護過程の科目と臨床判断能力を関連させる大学が約5割と最も多かった。また到達レベルや評価方法は大学間でさまざまであり習得度は大きな差が生じる可能性があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの感染拡大の状況ではあるが、文献研究と全国調査の研究を今年度は2件実施することができた。全国調査に関する研究は、2022年度に学会発表する計画で進んでいる。また看護系雑誌に論文投稿をする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、看護基礎教育における臨床推論、臨床判断に関する教育において、演習内容や演習方法、また看護学実習にも焦点をあてて、研究を計画する。さらに、看護において臨床推論が注目されてきたきっかけが高度実践看護師の教育であることも言われている。医学領域ではなく、看護における臨床推論、臨床判断の教育の在り方の示唆が得られる研究を計画し、実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた旅費を使用していないためである。コロナの状況で県外移動は看護学実習で病院に出入りするために行けなかったこと、また学会の多くはオンラインでの開催であり、旅費の使用がなかった。
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