研究課題/領域番号 |
20K10642
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
藤内 美保 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (60305844)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 看護基礎教育 / 臨床判断能力 / 学内演習 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
看護基礎教育における臨床判断能力育成のための学内演習授業計画の実態を研究課題として取り組んだ。令和4年度より指定規則改正に伴い改正カリキュラムが施行され、より強化される教育内容の1つに臨床判断能力が挙げられている。しかし、臨床判断能力向上に向けた教育計画の実態について、学年進行の位置づけ、科目、教育内容や到達目標など標準化されたものは見出されていないことは、前年度の研究で明らかにした。そこで本研究は、臨床判断能力の教育において、臨床判断について造詣が深い教育者が考える学内演習授業計画の実態を明らかにして整理・分析することで、今後さらなる臨床判断能力育成のための教育計画の示唆を得ることを目的として実施した。KAKENデータベースを用いて「臨床判断」「看護基礎教育」のキーワードで研究者を検索した。大学の教授で研究同意が得られた6名に、半構造化面接を行った。学内演習の計画の実態としては、学年が上がるに伴って、段階を踏んだねらいや演習形態、事例が計画されており、いずれも学生の主体性の成長を促すことが重要視されていた。また、現時点における課題については、学生の学習支援や演習環境に関する課題や、教員の指導能力に関する課題が多かった。学内演習における臨床判断能力育成のための教育では、最初はまず臨床判断を行うための基礎となる知識や技術を習得し、看護過程の展開を通して得た知識や技術の活用方法を学ぶ中で、「気づき」を捉える経験、またそれに対して「推論」する経験を積み上げる。そして学年が上がるにつれて、経験として積み上げたものを応用し、「気づき」「推論」「反応」「省察」という臨床判断のプロセスに焦点を当てるというように、段階的に臨床判断の思考過程を学んでいくことが重要であることを導いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大により、医療現場や看護教育現場では、多忙を極めており、研究実施が困難であったため、文献研究と次年度の研究準備に時間をあてた。2021年度は、令和4年度指定規則改正に向け、看護基礎教育機関は、臨床判断能力向上に関する教育計画を立てているタイミングであったため、全国の看護系大学の臨床判断に関する教育計画の実態と課題を明らかにし、その成果を導いた。これは、学術集会で発表した。論文作成も完成しているので、今後学術誌に投稿する予定である。2022年度は、2021年度の研究を踏まえて、さらに臨床判断・臨床推論能力向上に向けた教育研究に造詣が深い看護系教員にインタビュー調査を行い、具体的な教育方針や工夫、課題などについて語ってもらい、今後の臨床判断能力向上につながる示唆のある研究成果を導くことができた。本研究も2023年度の学術集会で発表する予定である。また論文作成も進め、投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度に実施した質的研究の成果について検証するため、広範囲をフィールドにして、調査を行う。 2021年度に実施した看護系大学を対象にした臨床判断能力向上のための教育計画の実態に関する全国調査の結果を学術誌に投稿する予定である。 2022年度に実施した、臨床判断能力向上のための学内演習の取組についての成果は、今年度学会発表予定である。さらに論文作成も進めているので、学術誌に投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、学術集会での発表は行ったが、全てオンラインでの発表となったため、旅費予算の使用がなくなった。
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