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2022 年度 実施状況報告書

深部損傷褥瘡における自然リンパ球の炎症調整機構を活かす看護ケア方法の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 20K10654
研究機関山形大学

研究代表者

松田 友美  山形大学, 医学部, 教授 (90444926)

研究分担者 石田 陽子  山形大学, 医学部, 准教授 (60322335)
菅野 恵美  東北大学, 医学系研究科, 教授 (10431595)
三浦 奈都子 (小山奈都子)  岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (40347191)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード深部損傷褥瘡 / DTI / ILC3 / 創傷治癒 / 圧迫創 / サイトカイン / マクロファージ
研究実績の概要

難治性褥瘡の一因、深部損傷褥瘡 (Deep Tissue Pressure Injury: DTPI) は生命を脅かす激烈な炎症を惹起する。慢性炎症は、皮膚付属器官の消失や瘢痕治癒をもたらし、外貌や皮膚機能を障害することにもつながる。そのため、本研究の目的はDTPI憎悪の一因となる過度な炎症を抑えて慢性炎症を防ぐことである。ひいては皮膚機能の温存そして傷を「きれいに治す」創傷治癒を誘導する初期対応看護ケアの確立を目指す。
自然リンパ球 (innate lymphoid cell: ILC) のひとつILC3は、炎症初期の応答調節や上皮系の恒常性維持の役割を担う。同じ上皮系組織である腸管粘膜上皮組織下でもLC3は重要な役割を担う。激烈な炎症の発生や慢性化に移行する炎症調整機構において、皮膚および腸管に存在するILC3が連動して関わるのではないかと考えていた。実験の結果、圧迫創初期の1日目の皮膚組織(真皮および皮下組織)におけるNotch1シグナルおよびROR gamma(t) monoclonal antibody(AFKJS-9)による免疫組織化学染色を施し、ILC3の局在を検索したが、ILC3の顕著な増加反応は認めなかった。本研究で今回用いたマウスの圧迫創モデルでは表皮の連続性は保たれたままであり外来微生物による炎症誘導の可能性は少ないと推察される。そして、比較的創傷治癒にかかる日数が短いことから、慢性炎症性の細胞は少なかったことが原因の一つと考えられる。または1日目よりもより短い、極初期の段階で反応している可能性も考えられることから、今後は受傷直後から1~3時間の短時間でのサンプリングポイントおよび創傷治癒成熟期となる14日~28日までの創部の観察と分析を再検討する必要があると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

COVID-19の影響を受け、前回の科学研究費分の研究について実験を進めており、本件の研究と同時進行していたため。その他、COVID-19の影響による学習環境調整対応や実習の予定の急な対応を迫られたことによる予定の後倒しにより、本研究のための時間確保が難しかったため。

今後の研究の推進方策

今後はさらに圧迫創の初期段階の経時的な変化を検索する。併せて切開創においてもILC3の局在性に特徴的な変化が認められるか、腸管粘膜上皮におけるILC3の局在性/増減と相関は無いかの検討を重ねる。受傷直後から1~3時間の短時間でのサンプリングポイントおよび創傷治癒成熟期となる14日~28日までの観察を検討する必要があると考える。皮膚のみならず、腸管との関連を検討する予定での計画だったが、皮膚におけるILC3の局在の増加が認められないことから、切開創および圧迫創の作製方法を再検討し、慢性創傷を作製できるより激烈な炎症、創傷治癒に長期間を要するモデルの検討も課題と考えられる。

次年度使用額が生じた理由

実験計画内容の変更およびそれに係る研究期間の延長に伴う、研究費の使用のため。研究費は主に実験動物の購入および実験試薬や実験消耗品の追加購入に必要となる。

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公開日: 2023-12-25  

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