研究課題/領域番号 |
20K10656
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
森脇 睦子 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 特任准教授 (40437570)
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研究分担者 |
山内 和志 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座教授 (50321831) [辞退]
堀口 裕正 独立行政法人国立病院機構本部(総合研究センター), 診療情報分析部, 副部長 (50401104)
梯 正之 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (80177344)
林田 賢史 産業医科大学, 大学病院, 医療情報部長 (80363050)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 看護管理 / 転倒転落 / 患者間違い / 看護配置 / 病棟管理 |
研究実績の概要 |
本研究では、複数施設の入院患者のデータを日毎病棟毎に集約し、日々の病棟の忙しさを定量的に評価し有害事象発生(転倒転落と薬剤及び患者間違い)の関連を明らかにした。 データソースは、①DPCデータ、②看護師の勤務実績データ、③有害事象データである。DB①~③を連結し、有害事象発生の有無をアウトカムとした多変量解析を実施した。 本研究では、12施設を病棟単位で集計し35,976日-病棟を解析した。病棟単位の有害事象発生状況は、転倒転落8.97%、薬剤患者間違い13.71%であった。夜勤の患者当たり看護時間は、転倒転落あり群vsなし群で1.47SD0.24 vs 1.46SD0.23(p<0.01)であり、日勤では1.99 SD0.60 vs2.01SD0.58(p=0.15)であった。同様に薬剤患者間違いあり群vsなし群で1.46SD0.24 vs 1.46SD0.24(p=0.53)であり、日勤では1.95 SD0.58 vs2.06SD0.58(p<0.01)であった。多変量解析の結果、死亡ありOR=0.08(p<0.01)、日勤の患者当たり看護時間OR=1.09(p<0.01), 夜勤の患者当たり看護時間OR=0.71(p=0.02)が転倒転落を生じる病棟の影響因子であった。同様に手術ありOR=-0.96(p<0.01)、日勤の患者当たり看護時間OR=1.28(p<0.01), 夜勤の患者当たり看護時間OR=0.47(p<0.01)が薬剤患者間違いを生じる病棟に影響していた。 これら2つの有害事象発生において、夜勤における患者当たり看護時間の増加は有害事象の抑制に寄与するが日勤の患者当たり看護時間の増加は有害事象抑制に寄与せず、日勤帯における増員分は、入院や手術、処置等の業務に対し充当された人員で安全確保のための要因にはなっていない可能性が示唆された。現在、論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ねデータ収集が終了し、解析も終了した。 現在、論文投稿作業に着手しているところである。したがって、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、各医療機関に対し研究結果のフィードバックを行い(研究結果報告会)、論文を執筆を進める予定である。併せて学会発表も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、当初計画していた各医療機関との打ち合わせや進捗報告会等がほとんどリモートにより行われることとなった。 また、国際学会の参加も予定していたが、それもオンラインとなったことから、研究費の一部を次年度に繰り越すこととなった。
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