研究課題/領域番号 |
20K10660
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
新地 浩一 佐賀大学, 医学部, 教授 (30404164)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際看護 / 看護教育 / 大学院教育 / 多職種連携 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、大学院における実践的な国際看護教育(国際保健活動に関するシミュレーション演習)の構築の準備を行い、e-learning system を利用したオンライン教育で、国際緊急援助活動に関するシュミレーション演習の教育を試行的に実施した。 また、海外における国際看護活動の経験のある看護職者14名に自記式質問紙調査票による調査を行い、大学院における国際看護の教育に必要な事項および優先順位の高い項目の抽出を実施した(データは、現在解析中である)。また、多職種連携を踏まえた、効果的な教育方法に関する意見聴取も実施した。大学院教育における国際看護領域の教育の必要性に関しては、71.4%の対象者が必要と考えていた。国際看護の教育の重要性は広く認識されているが、必修科目とするべきかどうかに関しては、意見が分かれるところであった。いずれにしても、時代背景に応じた教育内容の検討が必要であり、異文化の背景をもつ医療従事者間のコミュニケーションや他職種連携の必要性が重要事項として指摘された。今後、さらにデータの解析を進める予定である。 この成果は、国際保健医療に関する2つの国内学会に、3つの演題で発表した。 令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で、海外在住者の調査や面談が困難であり、自記式質問紙の配布等による調査方法で代替することとなった。また、過去の研究のデータを見直し、国際緊急援助活動における外科系看護師の役割を再検討するとともに、Civilian-Military Cooperation による海外医療協力活動である Pacific Partnership に参加した看護職による国際看護活動の報告を実施した。これらの調査研究の報告は、研究協力者の客員研究員2名(石橋秋奈、野中良恵)が行い、学会発表を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症のパンデミックにより、海外在住(ベトナムで勤務中の看護教員など)の看護職の面談による調査が中止となり、質問紙の配布およびメールでの情報収集による代替となった。また、大学院生の教育が、対面方式からオンライン講義への変更をせざるを得なくなった。その反面、オンライン教育でも、効果的な教育を実施する方法を模索する契機となった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度から、修士課程1年次の国際看護概論(必修科目)を利用して、約60名の大学院生を対象として、実践的な国際看護の教育を開始する予定である。令和3年度末までに学習環境・指導体制の整備を実施するとともに、令和3~4年度において、実践的な国際看護の教育の効果の評価を実施する予定である。 最終的には、多職種連携の調整能力に優れ、国際看護の領域で活躍する看護師の人材育成をめざしている。実践的な国際看護の演習を含む教育を導入することにより、看護教育の質向上につながり、国際社会において貢献できる知識・技能および柔軟性、調整能力に優れた看護職者を育成することを目指している。 特に、e-learning system を利用したオンライン教育の方法の構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、海外在住の研究協力者の帰国による共同研究が中止となり、また、2回の国際保健関連の学会出張が不要となり(オンライン会議での開催)、旅費および謝金の支出が減少したためである。今年度は、研究補助員の雇用も短縮せざるを得ず、研究費を令和3年度に繰り越すこととなった。次年度は、繰り越した研究費も含めて有効に使用する予定である。DVD教材の作成も予定している。
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