研究課題/領域番号 |
20K10665
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
竹原 歩 兵庫県立大学, 看護学部, 臨床講師 (30733498)
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研究分担者 |
小野 博史 兵庫県立大学, 看護学部, 講師 (70707687)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | せん妄 / 急性期 / 看護 / セルフケア理論 |
研究実績の概要 |
地域包括ケア時代に向けた急性期病院にとって、入院期間延長や医療費増大につながる対応困難なせん妄患者対策は急務である。本研究は、急性期病院の看護師が実践できる精神看護学領域のセルフケアモデルを取り入れた、対応困難なせん妄患者に対する看護ケアモデルの構築を目指すものである。 本研究3年計画の初年度である2020年度は、精神看護学領域で用いられるセルフケアモデル「オレム-アンダーウッド理論」を修正して看護ケアモデルの概念枠組みを構築する作業を行った。そのための基礎データとして、急性期病院で勤務している5名の精神看護専門看護師を対象に、せん妄患者の看護の実際について問うインタビュー調査から、セルフケアモデルに基づいて看護ケア方法を抽出する分析作業を行った。その結果、30場面の看護ケア方法が抜き出され、それらの意味内容から【水・食事摂取のためのデバイスを増やさない援助】【患者が落ち着きやすい環境調整援助】【患者に安心をもたらす関係構築の援助】【人は夜に眠るものという既成概念にとらわれない休息援助】【退院先に合わせた活動援助】の5つの看護ケア方法が抽出された。複数のセルフケア項目に関連した具体的な看護ケア方法が抽出されたことから、セルフケアモデルを概念枠組みに用いることで、従来のせん妄対策では対応困難な事例に対する新たなアプローチの提案につながると考えられた。 2021年度は、看護ケアモデルのより具体的なプロトコール作成に向けて、精神看護専門看護師を主要情報提供者としてフィールドワークを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、看護ケアモデルの概念枠組み構築作業の後に、看護ケアモデルのプロトコール作成に向けて、研究体制の整備と対象者のリクルートを行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、研究機関と臨床施設を行き来してフィールドワークを行うための準備を整えるところまで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
看護ケアモデルのより具体的なプロトコール作成には、臨床におけるフィールドワークが必須と考えられるため、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況にあわせて、参加観察・インタビューの実施期間を検討する予定である。一方で、オンラインによる研究環境を整えて、研究者間の討議、および専門家へのヒヤリングをすすめることで、看護ケアモデルの概念枠組みの精錬をすすめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、研究機関と臨床施設を行き来して行うフィールドワークや研究者間の討議、および専門家へのヒヤリングを実施することが困難であったため、旅費、人件費・謝金が不要であった。2021年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延状況にあわせて上記をすすめ、またオンライン上でも研究者間の討議や専門家へのヒヤリングを行えるよう研究環境を整えるための物品費に充てる予定である。
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