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2021 年度 実施状況報告書

臨床研究コーディネーターにおけるモラルディストレス尺度を用いた倫理的悩みの検証

研究課題

研究課題/領域番号 20K10666
研究機関新見公立大学

研究代表者

井上 弘子  新見公立大学, 健康科学部, 助教 (00783656)

研究分担者 山本 智恵子  新見公立大学, 健康科学部, 准教授 (60591576)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード臨床研究コーディネーター / 倫理的悩み / 倫理的ジレンマ / 尺度開発 / 離職
研究実績の概要

本研究は、我が国において新薬開発の最終段階に携わり、実施計画書を遵守するために被験者・医師・依頼者間の調整役を担っている臨床研究コーディネーター (CRC)の倫理的悩みの尺度を開発し、その信頼性と妥当性の検証、離職や健康への影響についての調査を目的としている。2021年度は以下の3点について取り組んだ。
1.昨年度より、米国の薬物研究に携わるスタッフの倫理的悩みの尺度(MSS-CR)の使用許可を開発者に依頼していた。今年度は開発者より翻訳許可を得ることができ、加えて同開発者が開発した「倫理的ストレス」「倫理的ジレンマ」「組織研究サポート」「コミットメント」「不信感指数」の使用許可も得ることができた。現在、英語の専門者と現役CRCから意見を聞きながら翻訳し「CRCを対象とした日本語倫理的悩み尺度」を開発している。尺度の質問項目に、いくつか日本では適応外と考えられる項目があり、その項目について現在検討中である。2.国外のCRCの役割、倫理的問題について文献を調査し、米国、イタリア、スエーデン文献が抽出できた。海外においても日本のCRCと同様に薬物開発の調整役を担う職業は存在しており、業務内容も大きな差異はなかった。これは臨床研究が世界での医薬品開発における国際的なルールであるICH-GCPに準じて実施されているためであった。CRCの看護師経験者が多い点や、学歴や雇用形態が多様である点も日本と同様であった。イタリアのCRCは仕事に満足を感じながらも、疲労感が強く、バーンアウトの傾向が見られた。仕事量・達成感がバーンアウトにつながることが明らかになった。 3.CRCや研究者間で検討をする中で、CRCは新薬の早期承認にむけて、医療専門職での経験や知識から被験者の苦痛を感じ取りながらも、新薬開発のためには継続が必要なのではと葛藤し、倫理的なジレンマが出現しているのではないかと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

CRCに対しての「倫理的悩み尺度」「倫理的ストレス」「倫理的ジレンマ」「組織研究サポート」「コミットメント」「不信感指数」尺度を英語の専門家と現役CRCに意見を聞きながら翻訳した。各尺度の妥当性の検証として、さらに現役CRCへ尺度の項目についての意見を聞き、尺度の完成を目指していた。
2021年度もCOVID-19の影響によりCRCの業務自体がリモートと対面とまだまだ落ち着かない多忙な状況から、研究協力について前向きな回答を得ることができなかった。

今後の研究の推進方策

海外文献におけるCRCの倫理的問題のレビューについての発表を予定している。
2022年度はCOVID-19の感染拡大を注視しながら、研究協力についての依頼地域を拡大していく。現役CRCから得られた意見をもとに尺度を見直し、6つの尺度の日本語版の適応を再検する。逆翻訳を行い、日本語版尺度を完成させる。 医療専門職者の倫理的問題と健康への影響について発表されている文献と照らし合わせ、仮設検定を実施する。CRCの倫理的問題や健康への影響についての仮説を完成させ、アンケート調査が実施できる基盤づくりを行う。

次年度使用額が生じた理由

(理由)2021年度は文献調査や翻訳作業が中心であったため、諸費用の使用が少なかった。参加した学会がWEB開催となり、交通費や宿泊費への捻出がなかった。
(使用計画)COVID-19の状況を鑑みながら、対面でのインタビューにむけての宿泊・交通費に充てる。逆翻訳の委託経費・データ解析のための統計分析ソフト IBM SPSS Statistics Ver.28を購入予定。研究成果発表のための宿泊・交通費に充てる予定。

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公開日: 2022-12-28  

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