研究課題/領域番号 |
20K10672
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
加茂 敦子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (50614088)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 皮膚バリア機能 / 浸透圧 / ドライスキン / ホメオスタシス / スキンケア |
研究実績の概要 |
皮膚は体の内外を境界し、水の移動を制御することなどによりホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしている。この皮膚バリア機能が低下するドライスキンやアトピー性皮膚炎(AD)などの皮膚掻痒症では、経皮水分蒸散量の増加や角質水分量の低下が認められ、表皮におけるホメオスタシスが崩れていると考えられる。本研究では表皮内のホメオスタシスを規定する因子として表皮内浸透圧に着目し、皮膚バリア機能との関連を解析している。 これまで、分化誘導した正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)を浸透圧調整培地(200、300、400 mOsmol/kg H2O)で培養した結果、高浸透圧培地での培養24時間後にTransient receptor potential vanilloid 4 (TRPV4) mRNAが増加することを確認してきた。今年度は、健常者とAD患者から採取した皮膚について、抗TRPV4抗体を用いた免疫染色による発現解析を再度行った。その結果、表皮におけるTRPV4発現は、健常者と比較してAD患者で有意に高く、痒みVASスコアと弱い相関関係があることが明らかとなった。TRPV4は、アセトン処理により皮脂を除去して作製する急性ドライスキンモデルマウスの表皮で発現が高く、またアセトン-ジエチルエーテル(AE)と水(W)により作製する慢性ドライスキンモデルマウス表皮でも発現増加が認められ、痒みを示す掻破行動との関連が報告されている。以上のことから、ドライスキンに加えて、ADのような皮膚バリア機能が低下した状態では、表皮内環境が高浸透圧になっている可能性があること、またそのような表皮内環境の変化によるTRPV4発現の増加が痒み発生に関連することが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画の効率化を進めているが、正常ヒト表皮角化細胞を用いた培養系の確立や抗体の選定に時間がかかるなど、計画通りに進んでいない状況もあり、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果をもとに、動物モデルの実験プロトコルや解析項目を再検討し、これまでの実験サンプル等を活用するなど、研究目的を達成するための効率化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗が全体的に遅れており、次年度使用額が生じた。実験計画の効率化を検討し、主に動物実験の関連試薬とこれまでの成果報告に使用する予定である。
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