研究課題/領域番号 |
20K10681
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
横野 知江 (西澤知江) 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50579597)
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研究分担者 |
飯島 淳彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00377186)
内山 美枝子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10444184)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 網膜硝子体手術 / 腹臥位 / Face pillow / 形状 / 素材 / 体圧分散 |
研究実績の概要 |
第1段階「Face Pillowの特性分類と課題の明確化」では、国内外の網膜硝子体術後の腹臥位時に使用するFace Pillowの種類を形状及び材質について文献を調査した。形状については、U字型、円柱枕型、ドーナツ型などが存在した。既製品のみならず、病院独自で作成した用品を使用している報告が散見した。また腹臥位による手術時に使用する顔面用クッションも調べ、顔の形状や大きさに合わせてカスタマイズすることができる製品の適用可能性が考えられた。材質については、綿、ビーズ、ウレタンフォーム、ビーズ、ゲル、エアなどがあった。これらの材質は、褥瘡予防マットレスやクッションと類似していた。Face Pillowの評価視点は、接触圧の他、通気性、苦痛といった主観的評価があり、最も適した形状・材質について統一した見解は得られなかった。 以上より、形状は個人の顔の大きさや形状、体位によって変形可能なもの、素材は体圧分散に加え、通気性、苦痛といった観点をすべて考慮できる材質を選択または、開発する必要がある。 第2段階「Face Pillow使用時の生体反応、形態学的変化、主観の評価」については、20代の女性を対象に形状、素材の異なる既存の3種類のFace Pillowを選定し、どの素材・形状が有効性か評価するプレ実験の妥当性の検証を行った。その結果、生体反応については、眼周囲の血流の評価方法、頭頸部の筋疲労度の測定用具の妥当性について課題が残った。形態学的変化については、顔面の浮腫の評価方法について課題が残った。主観的評価は、単に接触圧による痛みのみならず、呼吸のしやすさや閉塞感、安定感など個人によって訴えが様々あったことから、評価項目の整理が課題として挙がった。第2段階の成果は、第29 回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会(2020.7月)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1段階「Face Pillowの特性分類と課題の明確化」では眼科病棟がある複数の医療機関を対象に、網膜硝子体手術後の腹臥位時に使用しているFace Pillowの種類とその形状及び材質、利点、欠点(問題点)について郵送法による無記名自記式質問紙調査を行う予定であったが、COVID-19感染拡大の影響により、臨地調査ができなかった。第2段階「Face Pillow使用時の生体反応、形態学的変化、主観の評価」では、評価方法の妥当性の検証によって、評価方法の課題が残ったため、本実験に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
第1段階「Face Pillowの特性分類と課題の明確化」で予定していた臨地調査については、COVID-19感染拡大の状況をみて調査の実施の可否を検討する。可能な限り負担の少ない方法で調査依頼ができるようwebを使用した調査を検討する。 第2段階「Face Pillow使用時の生体反応、形態学的変化、主観の評価」は、評価方法、評価指標の慎重な検討が必要である。したがって、2021年度には課題についてプレテストを重ね、解決をする。また、検診及び治療過程における心身負担について、身体的生理的反応に関する基礎研究を専門とする内山美枝子保健学博士、眼球運動・瞳孔計測と診断、眼球・瞳孔の撮影機器の開発など眼科領域の医工学を専門としている飯島淳彦工学博士、生体力学、生体医工学・生体材料学を専門としている小林公一工学博士、眼科臨床医の長谷部日医学博士と評価指標について協議を重ね、評価方法について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費の残金が生じた理由は、第2段階「Face Pillow使用時の生体反応、形態学的変化、主観の評価」において、プレ実験の妥当性の検証に時間を要し、本実験を行うことができなかったためである。2021年度は本実験の準備として、当初予定していた実験に必要な測定用具の購入を計画する。旅費の残金が生じた理由は、COVID-19感染拡大の影響により、学会参加や出張ができなかったためである。今後も出張が困難な場合には、当初予定していた経費を論文執筆費用に補填することを計画する。人件費・謝金の残金が生じた理由は、第1段階「Face Pillowの特性分類と課題の明確化」で予定していた臨地調査及び第2段階「Face Pillow使用時の生体反応、形態学的変化、主観の評価」の本実験を実施できなかったためである。2021年度はこれらの調査費用として計上したい。
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