研究課題/領域番号 |
20K10687
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
會田 みゆき 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (20214512)
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研究分担者 |
常盤 文枝 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00291740)
山岸 直子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (10320821)
金 さやか 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (50736585)
東口 晴菜 埼玉県立大学, 大学院保健医療福祉学研究科, 大学院研究員 (60890530)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 視線分析 / 臨床判断 / 臨床推論 / シミュレーション教育 |
研究実績の概要 |
前年度実施した本調査の結果から、臨床判断の過程における気づき・解釈(推論)を明確化するため、主訴への対応場面における看護学生の視覚情報と思考過程の特徴を明らかにした。 【調査の概要】対象:看護大学4年次学生8名、看護師7名。調査手順:1)慢性心不全患者の主訴(呼吸困難)への対応場面におけるシミュレーション3分間実施。被験者に眼球運動測定装置[TalkEye Lite TTK2951]を装着し録画。2) 録画した動画を見ながら、場面における気がかり、行動の根拠、視線の意味、判断等について、半構成面接を実施し確認した。分析方法:眼球運動再生プログラムを用い、対象者ごとに着視および注視の対象領域、時間、回数を集計し、学生、看護師の平均を算出した。さらに逐語録におこした面接内容を照合し、視覚情報と思考の関係を整理した。 【調査結果】1)着視領域数、注視領域数、着視回数、注視回数の平均は看護師の方が多く、着視および注視領域数、注視回数において、看護師の平均が有意に高かった。2)主訴への対応と思考:主訴を気がかりに、全員SpO2測定、呼吸音聴取を行い、SpO2低値を把握していた。看護師は、主訴に関連する所見(浮腫や肺水腫)や治療への反応(尿量)に関する情報も併せて解釈し、ケアの選択(主訴軽減のための方策)について検討していた。一方、学生は観察結果を主訴の程度の根拠データとし、主訴へ共感する思考が多く、ケア検討のための解釈に至っていなかった。 学生は主訴を確認する観察が主であり、関連所見や治療関連の情報収集まで思考が及んでいなかった。臨床経験の少ない学生が、主訴を受けケアの選択を思考できる訓練として、情報を統合し解釈しながら推論を進められるようなシミュレーション教育が有効であることが示唆された。2024年度は教育プログラム作成、実施、評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シミュレーション教育プログラム案(シナリオ)は作成したが、対象者の確保困難により、パイロットスタディ実施による教育プログラム修正、プログラムの実施、評価まで進められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、作成したシミュレーション教育プログラム案でパイロットスタディを実施し、プログラム案の修正、修正プログラムの実施および評価を行う。評価は、①状況設定問題試験による思考(臨床推論)の評価と②ルーブリック評価表による行動(実践)の評価とし、シミュレーション実施前後比較、デブリーフィングでの介入の有無による比較を行う予定である。シミュレーション教育プログラムの評価に基づき、シミュレーション教育プログラムを提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学生へのパイロットスタディの実施、修正プログラムの実施及び評価を行うため、被験者への旅費、謝礼の経費等が必要になる。また、研究成果の発表のための経費も必要になる。
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