研究課題/領域番号 |
20K10690
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
平尾 百合子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (50300421)
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研究分担者 |
邊木園 幸 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80405604)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 感染対策 / 住民参加型研究 / 過疎高齢化地域 / 感染管理システム |
研究実績の概要 |
本研究は過疎高齢化地域を対象にコミュニティを基盤とした参加型研究(CBPR:Community-Based Participatory Research)によって、過疎高齢化地域の感染対策の課題を明らかにすると共に地域全体の感染制御能力を向上させようと試みるものである。地域住民との協働によるCBPRによって、地域全体の感染制御能力を向上させ、効率の良い感染管理システムの構築をめざしている。中山間地域である山梨県峡南地区の市川三郷町や富士川町、宮崎県日向市美郷町・高原町を対象地域とし、そこで働く保健師を地域住民との取りまとめ役に、地域住民から感染対策上の要望や意見等の情報収集を目指したが、2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、本研究目的であるCBPRへの企画・運用が難しかった。 そのため、令和2年度はCBPRの準備期間ととらえ、地域貢献として宮崎県高原町内の介護サービス事業所を対象とした新型コロナウイルス感染症対策に関する研修を実施した。研修会では講義および手指衛生技術演習や個人防護具の着脱演習を行った。参加者の集中(三密)を避けるため会場参加できなかった施設に対しては、zoomを活用したオンライン配信を行った。会場参加者数28名、オンライン参加施設2施設であり、参加者全員から所属する施設の感染対策を見直すヒントが得られたと高評価であった。また、手指衛生では「自分の洗い残しの癖がわかった」「ガウンの着脱方法がわかった」等、演習による学習効果が得られていた。さらに、研修内容を職員と共有したいという意見が複数あり、感染対策への関心が高まっていた。その一方、山梨県市川三郷町の活動では、峡南医療センター市川三郷病院の感染症看護専門看護師と市川三郷町の保健師の協力を得ながら、令和3年度の町民対象の感染対策に関する講義や演習の活動準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う移動制限により、住民参加型研究(CBPR)のフィールドワークを開始できなかった。保健師も新型コロナウイルス感染症の対応のため多忙となり、研究協力を得にくい状況であった。そのため、2021年度に活動ができるよう調整を行っていたが、新たなクラスターの発生や感染者数の増加がみられ、当初の計画よりも遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度、山梨県市川三郷町については感染症看護専門看護師ならびに市川三郷町の保健師と月1回の話し合いを行い、町内の高齢者を対象とした感染対策の勉強会を開催できるよう調整する。また、山梨県富士川町や南部町については、当該地域の保健師に声をかけ、感染対策を十分にとった上で住民対象の勉強会を開催すべく計画を立案していく。また、宮崎県高原町及び日向市美郷町については、保健師への感染対策上の課題についての要望や意見に関するインタビュー調査を行い、本研究課題に関連した情報収集を行うと共に、保健師を通じて住民代表者との連絡・調整を行い、地域住民のニーズを明らかにし、CBPR活動に向けた具体的な計画を立案する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、購入予定の個人防護具や手指衛生物品等が全国的な物資不足で入手困難となり購入できなかった。また、地域住民に対するフィールドワークの実施が困難となり、交通費の未使用があり、次年度への繰り越しとなった。 令和3年度は新型コロナウイルス感染拡大状況をみながら、少しずつフィールドワークを広げていくように計画している。
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