研究課題/領域番号 |
20K10690
|
研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
平尾 百合子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (50300421)
|
研究分担者 |
邊木園 幸 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80405604)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 感染対策 / 住民参加型研究 / 過疎高齢化 / 中山間地域 / 感染管理 |
研究実績の概要 |
本研究は過疎高齢化率の高い中山間地域を対象にコミュニティを基盤とした参加型研究(CBPR)によって、過疎高齢化地域の感染対策の課題を明らかにすると共に地域全体の感染制御能力の向上を試みるものである。2021年度も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、本研究目的であるCBPRへの企画・運用が難しかったため、小規模での試験的実施にとどまった。 全国的なCOVID-19感染拡大に伴い、中山間地域の高齢者施設でもクラスター発生が多くみられたことから、高齢者施設での感染対策の課題を明らかにすることを目的に長野県・山梨県の高齢者施設563施設に研究協力の意向調査を行った。研究協力が得られた82施設の感染対策担当者とケア担当者を対象に質問紙調査を実施し、感染管理担当者72人、ケア担当者452人から回答が得られた。 山梨県の峡南医療センター市川三郷病院の感染症看護専門看護師と市川三郷町保健師の協力を得ながら高齢者対象の感染対策の研修会開催に向けた準備を行っている。その他、一般市民対象の「触ってみる展覧会」では入館時の手指衛生や展示物の消毒、換気、人数制限等の感染対策の実施により安心・安全な展覧会ができ、出展者・参加者・運営者から高評価を得ることができた。 宮崎県内の高齢者施設894施設にCOVID-19感染対策の実施状況について調査を実施し、249施設より回答が得られ集計・分析中である。今後は宮崎県の保健所保健師及び市町村保健師に高齢者福祉施設へのCOVID-19対策に関する支援の実態調査も予定している。新富町との協働で、高齢住民54名(平均年齢76歳)にCOVID-19予防の研修会を実施した。手洗い演習では「きれいに洗っているつもりでも落ちていない」等の驚きの声が上がっていた。また、ダニや蚊の媒介感染症への質問もみられ、日常的な感染症予防へ関心が広がっていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は全国的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、住民参加型研究のフィールドワークを積極的に実施できなかった。また、保健師もCOVID-19患者や濃厚接触者への対応に追われ多忙を極めており、研究への協力を得にくい状況であった。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は最終年度でもあることから2021年度に得られた質問紙調査の分析を行い、高齢者施設における感染対策の課題を明らかにすると共に、これまで実施できなかった山梨県市川三郷町や宮崎県高原町及び日向市美郷町の保健師と協働で、住民参加型研究(CBPR)を実施し、過疎高齢化率の高い中山間地域の感染対策上の課題を明らかにし、地域の感染制御能力の向上を目指し、効率の良い感染管理システム構築の案を作成したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い地域住民に対する住民参加型研究(CBPR)フィールドワークの実施が縮小されたことや研究打合せ等がオンラインとなり、旅費が発生しなかったため交通費の未使用があり、次年度への繰り越しとなった。 2022年度は新型コロナウイルス感染拡大状況をみながら、少しずつCBPRフィールドワークを広げていくよう計画している。
|