研究課題/領域番号 |
20K10690
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
平尾 百合子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (50300421)
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研究分担者 |
邊木園 幸 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80405604)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者施設 / 感染予防行動 / 過疎高齢化地域 / 行動意図 / 住民参加型研究(CBPR) |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、過疎高齢化地域の住民参加型研究(CBPR)については準備状態のまま延期せざる負えない状況であった。そのため、研究計画を軌道修正し、昨年度に引き続き、高齢者施設の感染管理体制の実態と入所者ケアにおける職員の感染予防行動への影響要因について、山梨県と長野県に、宮崎県を加え3県で調査を実施した。 研究協力の意向が確認できた高齢者施設を協力施設とし、そこに勤務している①感染対策担当者と②利用者ケアを実施している全職員のうち同意が得られた者を研究協力者とした。基礎情報および感染対策の状況については単純集計を行い、おむつ交換時における手指衛生と個人防護具の使用について、手指衛生は「利用者ごと」と「それ以外」、個人防護具の使用は「いつも使用」と「それ以外」に分け、職員の感染予防行動の実施と『行動意図』の影響要因について、χ2 検定を行い2群間の関係を比較検討した。 3県の高齢者施設832施設中288施設(回収率34.6%)から返信があり、研究協力の意向は106施設(12.7%)から得られた。106施設へ質問紙調査を実施し、回収は96施設(回収率98.0%)、①感染対策担当者は96施設中94人(97.9%)、②利用者ケアを実施者は欠損回答を除いた596人(68.6%)を分析対象とした。協力が得られた高齢者施設は感染管理体制が整備されており、おむつ交換時は手袋・マスクを使用していたが、袖なしエプロンを使用している施設は50%みられた。高齢者施設職員の感染予防行動への意識は高かったが、介護職と看護職ではエプロン、マスク、ゴーグルに使用差があり、看護職の防護具着用が有意に高かった。感染予防行動を職業別に影響要因をみると、介護職は【主観的規範】が高く、看護職は【感染予防行動への態度】と【感染予防行動へのコントロール感】が高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
全国的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、住民参加型研究のフィールドワークの実施が困難であった。また、研究遂行上、重要な役割を担っている市町村の保健師が、COVID-19患者や濃厚接触者への対応に追われ、業務が逼迫し、多忙を極めており、研究への協力を得られにくい状況であったため、フィールドワークが遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
山梨県市川三郷町ならび富士川町においては、COVID-19の5類引き下げ後、地域で開催されている高齢者サロンでの住民参加型の感染対策をイベントを開催できるよう準備している。 宮崎県高原町ではCOVID-19の感染拡大により中止されていたイベントの再開にあわせて、保健師の協力を得ながら各地区での健康体操や、茶飲み場での住民参加型の感染対策イベントを実施する予定で調整を進めており、5月下旬からヒアリングを開始し、7月にはミニレクチャを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、住民参加型研究のフィールドワークを積極的に実施できなかった。研究協力者である保健師もCOVID-19患者や濃厚接触者への対応に追われ多忙を極めており、研究への協力を得られにくい状況であったため、フィールドワークに使用する経費(交通費等)が残った。 山梨県峡南地域においてはCOVID-19の5類引き下げ後に、地域で開催されている高齢者サロンでの住民参加型のイベントを開催できるよう準備中である。宮崎県高原町でのヒアリングは5月下旬から開始し、7月には体験型のミニレクチャを行い、8月までにはPDCAを回して住民参加型の体験を実施する予定である。 謝礼について高齢者は交通手段もないため、個人商店でも使用できる町内の商品券などで対応できるか調整している。
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