研究課題/領域番号 |
20K10691
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
加藤 京里 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (70385467)
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研究分担者 |
田中 美智子 宮崎県立看護大学, 看護学部, 教授 (30249700)
管原 清子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (80624923)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 冷罨法 / 呼吸 / 三叉神経 |
研究実績の概要 |
慢性呼吸器疾患患者にとって呼吸困難感は一番の苦痛である。しかし呼吸困難感に対する治療法はまだなく、緩和は困難である。慢性呼吸器疾患患者の顔面にアイスパックを貼用するFacial Coolingが呼吸困難感を緩和した研究結果(Nagarwala et al. 2016)がある。これは、顔面の「触、温、冷、痛」覚を脳幹に伝達する三叉神経領域への冷刺激が関与していると考えられる。しかし他に類似する研究がなく、三叉神経領域への冷刺激による心身の反応や効果的な方法は未解明である。 本研究は顔面の三叉神経領域、特に皮膚感覚において冷点が多く、皮膚感受性が高い第1枝支配領域の前額部に対する冷刺激が心身に与える影響を明らかにし、さらに、慢性呼吸器疾患患者の呼吸困難感に対するFacial coolingの効果を検証する。そして、呼吸困難感を緩和するケアとして、Facial Coolingを新たに提案することを目指す。研究成果は呼吸困難感を抱えて生活する患者とその家族の、その人らしい生活、QOLを支えることにつながると考える。 2023年度は、三叉神経領域への冷刺激が運動負荷後の呼吸困難感、自律神経活動に与える影響を明らかにすることを目的とし、クロスオーバー試験を実施した。軽運動負荷後の健康な若年成人男女の回復過程において、前額部へのFacial Coolingの有無によって呼吸困難感(修正版Borg scale)、SpO2、皮膚温、皮膚電気活動、心拍変動が異なるかを明らかにすべく実験を行った。算出したサンプルサイズにはまだ被験者数が不足しているため、継続して被験者を集め、実験を継続する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者、研究分担者の所属機関における業務の多忙ならびに家庭の事情があり、実験を実施するための時間の捻出が困難であった。 またコロナ禍で、運動負荷をかけて呼吸状態を観察する実験研究を実施するために、感染拡大状況をみながら被験者のリクルートを行っているため、被験者を集めることが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
実験を継続して実施する必要があるため、科研費の延長を申請した。 研究実施期間の延長、研究分担者の追加について所属機関の倫理審査(実施計画の修正)を受け、承認を得た。被験者のリクルートならびに実験・データ収集を分担し、被験者の確保に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
被験者の確保が困難である事、また実験を実施する時間を捻出できないことが理由で、実験(データ収集)が遅れている。 今後、複数人同時にデータ収集ができるように、実験機材の追加購入を検討している。また、被験者に渡す謝礼としてQuoカードを購入することを計画している。研究結果は学術集会で発表するため、交通費が必要である。論文として投稿する際には英文校正費用、投稿料が必要である。
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