本研究は、採血技術の学習で学生が困難と感じる手技に対して可視化教材を用いた技術習得の効果を明らかにするために、異なる介入方法での採血実施における達成度の比較検証を行った。 看護学生3~4年生45名を対象に、採血モデルを用いた「静脈血採血」時の視線軌跡と達成度の自己評価を調査した。技術習得のため行う介入方法は、<教員支援>、超音波エコーを用いた<器機使用>とし、いづれの支援もない<自己実施>の3つとした。 結果より、採血手技は穿刺する血管の確定から準備、検体採取と止血までの一連の技術実践の中で18の手技に分けられ、その中でも看護学生が不安と感じる手技は、先行研究で学生が困難と感じる手技と同じく【血管の選択】【穿刺血管の確定】【血管穿刺】の3つの手技であった。その手技に関しての達成度について、教員や機器を用いた介入のない<自己実施>と超音波エコーを用いた<器機使用>での採血実施で有意差がみられた手技は【穿刺血管の選定】の2つの手技、【穿刺血管の確定】の1つの手技、【血管穿刺】の2つの手技であった。これらはいずれも強い緊張感を伴う手技であり、特に【血管の選択】における「駆血装着前に目視、指で触れるなどして、穿刺する血管を選択する」手技は、超音波エコーで血管の深さ、太さなどが可視化されることによって達成度が高く評価されていたと思われる。<教員支援>による介入では、【穿刺血管の確定】の「候補血管に指で触れて、血管走行、弾力性、拍動性、拍動の有無などについて再確認後、血管を決定する」の手技で<自己実施>間の有歳差がみられ、教員からの声掛けによる保証が学生の達成感を高めたと考えられた。見えない血管を扱う手技において、対象を可視化できる機器と教員の支援の組み合わせによって技術習得の達成度が高まることが明らかとなった。
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