研究課題/領域番号 |
20K10705
|
研究機関 | 福岡女学院看護大学 |
研究代表者 |
吉川 由香里 福岡女学院看護大学, 看護学部, 助教 (80828111)
|
研究分担者 |
豊福 佳代 福岡女学院看護大学, 看護学部, 准教授 (50737195)
藤野 ユリ子 福岡女学院看護大学, 看護学部, 教授 (90320366)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 看護学生 / 難聴高齢者 / コミュニケーション / 教育プログラム / VR教材開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「看護学生に高齢者、特に聴覚障害を有する高齢者とのコミュニケーションスキルを育成するための教育プログラム開発」である。そのために必要なVirtual Reality(VR)教材を開発し、プログラムを実施、評価することである。2021年度では、【教育プログラムの開発と実施】および【教育プログラム実施直後の評価】の2点を目標とし、研究を進めてきた。研究結果を以下に示す。 【教育プログラムの開発と実施】 ①2020年度より手がけてきたVR教材を完成させた。②2020年度に実施した「難聴を有する高齢者とのコミュニケーションに関する現状調査」を分析し(2022年度日本看護教育学会で発表予定)、研究分担者と共に、VR教材を活用した約90分の教育プログラムを開発した。③対象者である看護学生が容易に視聴できるよう機器を整備し、環境を整えた。④教育プログラムを実施する対象者を臨床現場での看護学実習前である看護大学2年生とし、教育プログラムを実施する日時を選定し、対象者をWEBで募集した結果、28名の希望者を得ることができた。⑤教育プログラムを計3回実施し、合計26名の研究対象者を得ることができた。 【教育プログラム実施の評価】 ①研究者らが所属する施設における研究倫理委員会で承認を受け、教育プログラム実施前後で教育プログラム効果に関するアンケート調査を行った。②①の調査を集計し、現在分析中である。③研究対象者が教育プログラムを実施後、難聴のある高齢者とのコミュニケーション状況と、教育プログラムによる行動変容と効果を調査している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで、研究計画としては概ね順調に進展していたが、今後の研究計画を遂行していく上で、懸念事項が2点ある。 1点は、「研究対象者の人数が少なかったこと」である。教育プログラムの実施を臨床現場での実習前と予定していたが、新型コロナウイルス感染の再拡大に伴い、教育プログラムの受講を希望する学生が、予定していた人数よりも少なかったことである。そのため、教育プログラムの効果を検証するにあたって、十分な結果が得られないことが予測された。 2点目は、「臨床現場での実習が中止になったことにより、難聴のある高齢者との関わりを得られる機会が少なくなり、教育プログラムの効果を体験できる可能性が減った」ことである。研究計画では、教育プログラムの評価として、研究対象者が臨床現場での看護実習で、教育プログラムの効果を得ることができたかを、インタビュー調査を予定したが、新型コロナウイルス感染が再び拡大したことによって、臨床現場での看護学実習が中止となり、学内での代替実習となってしまった。そのため、期待していた難聴のある高齢者とのコミュニケーションを取る機会を失い、十分な評価をすることができなくなってしまったことである。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、①十分な研究対象者を得ることができなかったこと、②臨床現場の看護学実習で、難聴のある高齢者とコミュニケーションをとることで、教育プログラムの評価・検証する予定であったが、臨床現場での看護学実習が中止となり、難聴のある高齢者とコミュニケーションをとる機会が減ってしまい、十分な評価を経ることができなくなってしまったことが、課題として挙げられる。今後、再度研究対象者を募集し、教育プログラムの実施し効果を検証するか、教育プログラムの変更、また教育プログラムの評価方法を変更するなど、研究者らと十分に検討し決定する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、学会に参加し情報収集する予定していたが、該当学会がオンラインとなり、予定していた旅費が不要になってしまった。また、研究遂行にあたり、予定した雇用が年度末以降となってしまい、該当年度での人件費支払いが遅れてしまったこと、研究協力者が少なく謝金が減ってしまったことが要因である。したがって、翌年度に再度研究協力者を依頼すること、学会への参加などに助成金を使用する予定である。
|