研究課題/領域番号 |
20K10707
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
岡 美智代 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (10312729)
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研究分担者 |
高橋 さつき 群馬大学, 大学院保健学研究科, 講師 (50412987)
松本 光寛 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (00881559)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フィージビリティスタディ / 聞き書き / 慢性腎臓病 / 手順書 |
研究実績の概要 |
【研究の背景】慢性腎臓病(CKD)は自覚症状が乏しく、継続受診のためには「病いと共に生活すること」をどのように受け止めているかを患者自身が認識することが望ましいが、そのための支援方法は明らかになっていない。そこで、次の研究を計画した。 【研究目的】1.CKD患者への聞き書き介入による患者の変化を明らかにする。ここでの聞き書き介入とは、CKD患者である対象者に、病いと共に自分らしく生きる意味や方法などについて語ってもらい、その語りを聞き手である看護師が冊子にするという、いわば自分史を作成してお渡しするものである。 2.フィージビリティスタディ(FS)を行い、CKD患者への聞き書きを看護実践に取り入れ易くする方法について明らかにして、聞き書きの為の手順書を作成する。 【研究の意義】本研究によって、CKD患者が「病いと共に生きる自分」という自己概念の再構築を具現化する方法と、その方法を臨床で実践するための手順が明らかになる。CKD患者が自分に向き合うことにつながり、継続受診が将来的に期待できる。なお、医療におけるFSとは、少人数への介入効果、介入者が体験した導入阻害、倫理的問題、コスト面などについて調査を行い、臨床応用の実行可能性について明らかにする研究である。 【2020年度の概要】本研究の計画後から、新型コロナウィルス感染症の影響により、入院患者の家族でさえ面会ができない事態になっており、患者へのインタビューが困難な状況である。そのため、計画の変更が余儀なくされた。詳細は【現在までの進捗状況】に記載している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フィージビリティスタディは、我が国の看護界ではあまり行われていないため、フィージビリティスタディを紹介する論文を執筆した。また、新型コロナウィルス感染症の影響により、入院患者の家族の面会すら禁止の中、研究者による患者へのインタビューは一切できなくなった。しかし、その中でも何とか研究を推進するため、過去に聞き書き介入によりインタビューをさせていただいたCKD患者の語りの中で、今まで分析していなかったデータを活用して研究を行った。 【研究目的】1.CKD患者の語りから、病への思いを明らかにする。2.CKD患者の語りを通してナラティブの効果を明らかにする。3.CKD患者に対する聞き書き介入前後での病いとの付き合い方の認識の変化の明確化である。【方法】質的帰納的研究デザイン。①対象者に、病への思いや付き合い方についてインタビューを行う。②語った感想について伺う(目的1と2の分析データに使用)。③対象者の①の語りを聞き書き本として冊子にして、お渡しする。④聞き書き本を対象者が読んだ感想を伺う(目的3の分析データに使用)。対象者はCKD病期G2~4の患者で視力・聴力障害のない者。男性2名、合計7名、平均年齢56.0歳。倫理的配慮:群馬大学人を対象とする医学系研究倫理審査委員会の承認を得ている。【結果】は、現在分析中である。 当初は分析まで終了している予定であったが、前述の通り患者へのインタビューが全くできず、その影響で研究がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2020年度に行った研究と同じ目的で、対象者を増やす予定であったが、引き続き新型コロナ感染症の影響で、患者へのインタビューは困難なことが予想される。そのため、2020年度に行った研究の分析を終わらせ、結果を明らかにする。また、その内容を学会での発表や投稿を行う。 2022年度は、フィージビリティスタディを行う予定であったが、こちらも新型コロナウィルス感染症の影響が懸念される。可能であれば、フィージビリティスタディにより、対象者への効果や実施率75%以上、中断率15%未満の実行可能性を達成するための方法を明らかにする。フィージビリティスタディが実施できなくても、今まで行った聞き書き研究を元に、臨床で実施可能な聞き書きの介入方法を手順書として作成して、websiteで公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(B-A)が12,154円ある原因は、研究分担者が次年度分担内容の実施に備えたためであり、次年度の研究推進に使用する予定である。 2021年度は、データ分析、学会発表、投稿などを行うため、人件費・謝金、学会参加費、投稿のための英文添削料、ホームページ開設料などが必要となる。
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