研究課題/領域番号 |
20K10712
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
上野 和美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (40404131)
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研究分担者 |
中野 治郎 関西医科大学, リハビリテーション学部, 教授 (20380834)
金子 史子 広島大学, 医系科学研究科(保), 講師 (80372704)
橋爪 可織 杏林大学, 保健学部, 講師 (20338578)
岡村 仁 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (40311419)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 再発乳がん患者 / ICT / 自己管理支援 / 精神心理的側面 |
研究実績の概要 |
本研究は、再発乳がん患者が自らの精神心理面のマネジメントを行い、QOLを維持するために,ICTシステムを活用した自己管理支援プログラムを開発し,その効果を検証することである。 乳がんの罹患のピークを迎える40~50歳代の女性は、家庭的にも社会的にも多様な役割を担っている。以前、抗がん剤の副作用の1つである、手足のしびれなどの感覚神経障害や筋力低下などの運動神経障害を症状とする化学療法誘発性末梢神経障害が、仕事や家事などの日常生活への支障やQOLに及ぼしている影響を調査したところ、乳がん患者は、他の女性がん患者に比べて上肢機能の障害と四肢の末梢神経障害が強かったが、QOLは乳がん患者の方が高かったという結果であった。 今年度は、化学療法誘発性抹消神経障害の自覚のない患者の状況把握と、化学療法誘発性抹消神経障害の自覚のある患者との比較を調査した。結果は、示指指腹の触圧覚は抹消神経障害の自覚のある患者のほうがより低く、有意差が見られた。しかし、自覚のない患者であっても触圧覚が低下している者もおり、中には「防御知覚脱失」と評価される者もいた。そのため、抹消神経障害の自覚がなくとも、末梢神経障害に関する日常生活等への指導や支援が必要であると思われる。また、使用薬剤をみたところ、自覚症状のある患者はタキサン系単剤使用が多く、自覚症状のない患者は複数薬剤を併用していた。 他のがん患者との状況を比較したところ、乳がん患者のほうが、ペットボトルや牛乳パックを開けることが困難であったり、力仕事が精いっぱいできないなど、より日常生活への困難を感じていたが、末梢神経障害に対する対処については他のがん患者よりも対応できていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で初年度の研究計画が実施できなかったため、以降、その遅れが影響しており進捗が遅れている。また、現在の施設では対象者が少なく、ICTシステムの運用までは出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
次段階の調査を行うにあたり研究倫理審査の申請準備中である。しかし、研究への参加者をリクルートはしているが、条件を満たす研究対象者が少ないため、なかなか次段階に進めることができない。今後は他施設での調査も検討する。患者への面接調査の実施状況と介入参加状況をみながら、ICTシステム構築の最終調整を行い、運用を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遂行が遅れているため、謝金等の支出やICTシステムの構築等の計画を変更したため金額の変更が生じた。 次年度は、国内・国外学会で発表予定のため、その旅費、謝金や物品費、ICTシステム構築費等を使用する予定であり、適切に使用する。
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