本研究では、現在のがんゲノム医療の代表疾患である乳腺婦人科腫瘍の患者ケアを実践する看護師を対象とし、現役看護師が取り組みやすいよう限定した教育内容を精選し(研究A:ミニマムエッセンシャルズの提示)、遺伝/ゲノム看護実践力の向上に効果的な教育方略の普及戦略を検討し(研究B:対象者特定・普及戦略の検討)、教育方略の開発とその効果の検証をすること(研究C:ランダム化比較試験)を目的とした。研究Aでは、乳腺婦人科腫瘍の予防、診断、治療、予後予測にかかわるキープラクティス12項目を抽出し、質的量的データのジョイントディスプレイにより構造化した。研究Bでは、非管理者、中間管理者、統括管理者の多群比較により、中間管理者が遺伝/ゲノム看護の実践力が高いことを特定し、主たる教育対象として設定した。研究Cでは、全国のがんゲノム拠点病院等の無作為抽出した教育用リーフレットを用いた教育介入群と非介入群の遺伝/ゲノム看護実践力の比較により、遺伝/ゲノム看護の意識化に関する項目において教育効果があることが明らかになった。一方、知識や経験を要する項目の効果は認められなかった。以上の手順にて、本研究では、乳腺婦人科腫瘍にかかわる臨床看護に携わり、かつ遺伝/ゲノム看護に初めて触れる看護師を対象とした「遺伝/ゲノム看護って何?~乳腺婦人科腫瘍の予防・診断・治療・予後予測にかかわる新しい看護~」に関するリーフレットを開発した。
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