研究課題/領域番号 |
20K10723
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研究機関 | 川崎市立看護短期大学 |
研究代表者 |
嵐 弘美 川崎市立看護短期大学, その他部局等, 准教授 (50439832)
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研究分担者 |
異儀田 はづき 東京女子医科大学, 看護学部, 助教 (70601293)
山内 典子 東京女子医科大学, 看護学部, 臨床講師 (10517436)
寺岡 征太郎 和洋女子大学, 看護学部, 准教授 (30626015)
池田 真理 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (70610210)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 専門看護師 / 事例検討 / 事例研究 |
研究実績の概要 |
専門看護師は、多様化した医療ニーズに対応し、看護の質の向上に寄与する高度実践看護師であり、その実践知を言語化し、伝播・継承していくことが求められている(以下CNSと記す)。現状では専門看護師の実践の共有には事例検討が広く用いられているが、その効果的な方法やモデルについては明らかにされていない。一方で、事例検討を研究的に用い、系統的な方法によって実践知の意味を明らかにし、伝播・継承することを目的とした事例研究が活発化している。そこで、本研究では、CNSの実践知を言語化し、伝播・継承するために有効な事例検討モデルを開発し、検証することを目的として研究を実施している。今年度は、CNSの実践知を明らかにする事例研究およびCNS事例検討会の実態調査を実施した。 CNSの実践知を明らかにする事例研究として、「職場不適応となった看護師の精神状態の悪化を防ぎ職場復帰を可能にしたリエゾン精神看護専門看護師の即応的なメンタルヘルス支援」および「心身の不調が生じやすい看護職に対するリエゾン精神看護専門看護師による長期的な支援」の2つの事例研究を終了し、それぞれで明らかになった実践知を発表予定である。また、この事例研究のプロセス自体を分析し、専門看護師の実践知の伝播・継承を促進する事例検討モデルの開発につなげていく予定である。 CNS事例検討会の実態調査として、CNS事例検討会のファシリテーターを経験したことのあるCNSにインタビューを実施した。CNS事例検討会のファシリテーターの経験を明らかにすることをとおしてCNS事例検討会の実態を把握し、課題を考察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、CNSの実践知を明らかにする事例研究を2事例、およびCNS事例検討会の実態調査を実施した。 CNSの実践知を明らかにする事例研究は、CNSの専門分野のうち、研究者らで構成されるリエゾン精神看護CNSに焦点を絞り、山本ら(2018)の「実践を他者と共有できる形で知につくってゆく」ことを目的とした「ケアの意味を見つめる事例研究」を方法として用いて事例検討を実施した。第一事例は、「職場不適応となった看護師の精神状態の悪化を防ぎ職場復帰を可能にしたリエゾン精神看護専門看護師の即応的なメンタルヘルス支援」であり、研究者らのリエゾン精神看護CNSとしての実践事例を5名の研究者で6回事例検討することにより、その実践知が明らかになった。第二事例は、「心身の不調が生じやすい看護職に対するリエゾン精神看護専門看護師による長期的な支援」であり、5回事例検討を重ねることにより、その実践知を明らかにすることができた。 CNS事例検討会の実態調査として、CNS事例検討会のファシリテーターを経験したことのあるCNS5名にインタビューを実施した。テーマティック・アナリシス法を用いてCNS事例検討会のファシリテーターの経験を分析中であり、その経験を明らかにすることをとおしてCNS事例検討会の実態を把握し、課題を考察する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実践知を明らかにする事例研究のプロセスを分析し、把握した現状に即して、専門看護師の実践知の伝播・継承を促進する事例検討モデルを開発し、実施する予定である。 事例研究は、本来対面で集合し、ディスカッションや作業を行う必要がある。そのため、新型コロナウィルスの感染拡大状況が、研究計画の実施状況に影響することが予測される。そこで、以下のように感染拡大状況の影響を最小限に抑え、研究を円滑に進行できるよう対策を講じて研究を実施する。 事例研究については、研究責任者が事例検討会の日時を決定する段階で、事例検討に参加する研究者らに対し、感染の可能性の高い項目(発熱、風邪などの症状がある、最近1ヶ月間で海外渡航歴がある、海外渡航歴のある人に接触した、最近1ヶ月間に本人または同居の家族が新型コロナウイルスに感染した、感染者に接触した)に該当がないか確認し、該当する場合は、オンラインにて事例検討を実施することにより、円滑に研究を進行する予定である。今後もこの状況は継続すると予測されるため、オンラインによる事例研究にも適合する事例検討モデルとなるよう考慮する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初今年度に予定していた論文投稿時の翻訳料の消化の時期が遅れたため、次年度分として請求した。 次年度は、論文投稿を行い、翻訳料として繰り越した金額を消費する予定である。
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