研究課題/領域番号 |
20K10728
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研究機関 | 宝塚大学 |
研究代表者 |
中川 ひろみ 宝塚大学, 看護学部, 教授 (30437131)
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研究分担者 |
田中 喜代次 筑波大学, 体育系, 名誉教授 (50163514)
笹井 浩行 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (60733681)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大腸がん / 食習慣 / 運動習慣 / 排便習慣 / QoL |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高齢大腸がんサバイバーを対象に、排便機能障害の緩和を目指した食事と運動による複合介入プログラムを開発し、その実行可能性、安全性、予備的な有効性を検証することである。2021年度はストーマ保有者11例と非ストーマ保有者6例の計17例に食習慣と運動習慣、排便習慣について半構造化面接を行い、その結果から内容分析およびEORTQLQ-30によるQoL評価を行った。直腸がん17例の平均年齢は、68.8 歳であった。術後の体重変化については、非ストーマ保有者群は平均1.3kgであり、ストーマ保有者群は2.3kgであり、両群ともに増加していた。運動習慣を有する者は術前に10名(58.8%)、術後に12名(70.6%)であった。週あたりの平均術後運動時間については、両群ともに術前よりも増加していた。 内容分析から、ストーマ保有者群と非ストーマ保有者群に共通した4つのカテゴリー【食事のコントロール】【排便機能障害への対処】【排便機能障害との折り合いをつける】【運動習慣の継続】が抽出された。両群は【排便機能障害への対処】として【食事のコントロール】を図り、【排便機能障害との折り合いをつける】ことにより、【運動習慣の継続】が行われていた。【運動習慣の継続】がない者は【排便機能障害に対する困難感】【ストーマ管理に対する困難感】があった。EORTQLQ-30 Global health statusのスコアは非ストーマ保有者群が平均80点、ストーマ保有者群で平均40点であり、非ストーマ保有者群の方がストーマ保有者よりもQoLが高かった。本調査から、直腸がんサバイバーの排便機能障害は運動習慣と関連することが示唆された。今後は定量的な調査により、これらの関連をより詳細に検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大阪府が新型コロナ感染症流行地区であったため、施設側による対象者のリクルートが困難であった。これにより、京都府、兵庫県の2施設から対象者をリクルートし、対象者17例の食習慣と運動習慣、排便習慣に関する半構造化面接結果から内容分析とQoL評価を行った。現在は、論文投稿にむけて準備を行っている。この結果を受けて、更なる文献レビューを行い、2022年度に実施するより規模の大きい質問紙調査の質問票作成にむけて準備している。
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今後の研究の推進方策 |
質的調査については、学会発表と論文投稿を行う予定である。2022年度は質問紙調査実施にむけて本学において倫理審査を受け、調査およびデータ収集を行う予定である。対象者のリクルートが新型コロナウィルス感染症禍により大幅に遅れたため、研究の進捗が遅れている。このため、今後は、研究期間の延長も視野に入れながら、当初の計画に基づいて研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19による医療逼迫の影響で、大腸がんサバイバーをリクルートすることが困難であり、使用する物品購入やインタビューに使用する経費が大幅に減少した。次年度は臨床研究を行うため、研究内容に関する研究費を適正に使用する予定である。
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