研究課題/領域番号 |
20K10733
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
金正 貴美 香川大学, 医学部, 講師 (00335861)
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研究分担者 |
野嶋 佐由美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00172792)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 情報ニーズ / Comfort / がん患者 |
研究実績の概要 |
2022年度は、がん患者のComfortに関する情報ニーズを明らかにするために、文献レビューを行い、学術雑誌に投稿した。 がん患者は、健康に向かって主体的な療養生活を構築するために、情報を求めている。Kolcaba(2003)は、患者はComfortが増進すると健康探索行動が強まり、それによってさらにComfortが増進されると述べている。本研究は、がん患者のComfortに関する情報ニーズとはどのようなものかを文献検討によって明らかにし、Comfortを促進する支援プログラム作成への示唆を得ることを目的とした。対象となる文献は、医学中央雑誌、CINAHL、MEDLINEを用いて、 “cancer patient” 、 “information need” 、“comfort”をキーワードに検索を行い、36件とした。 がん患者のComfortに関する情報ニーズは、【病気や治療による変化をよりよく理解するための情報】、【苦しみを和らげるための情報】、【人と共に生活するシステムを構築するための情報】、【相互作用を通して安心するための情報】、【悪化を低減し回復する力となる情報】の5つが抽出された。これらの情報ニーズに応えられるような資源づくりや、情報ニーズの視点でアセスメントを行い、同病者、家族、医療との相互作用が進むようなアプローチを可能にする、Comfortを促進する支援プログラム作成への示唆を得た。 カテゴリーから、支援プログラム作成におけるアセスメントやアプローチのための着目点が考えられる。 カテゴリーの1つ【悪化を低減し回復する力となる情報】からは、がん患者は、診断、治療、経過観察といった段階に応じた食事、服薬、運動、活動についての情報を得ることで、副作用を軽減し体力の低下を防ぎ、回復できることに着目する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
がん患者のComfortに関する情報ニーズ(金正、野嶋、2021)の文献レビューより、がん患者は身体から感じた情報を、医療者から提供される個別的な情報と合わせて意味づけ理解し、自身の力を発揮した健康探索行動に取り組むことが明らかになった。先行研究のがん患者のComfortに関する情報ニーズのカテゴリー【病気や治療による変化をよりよく理解するための情報】、【人と共に生活するシステムを構築するための情報】、【相互作用を通して安心するための情報】、【悪化を低減し回復する力となる情報】を手がかりとし、新聞記事や書籍も含めてがん患者の情報ニーズを抽出し、18の質問項目を作成した。 質問項目への回答肢は、質問項目を読んで今の状況からどの程度そう思うのか、「5:そう思う-3:どちらでもない-1:そう思わない」の5つの程度から1つ選択するようになっている。自分自身に提示された情報があると回答することは、自分にとって活用できる情報ニーズが明確になっているといえる。質問は回答者が、診断された段階、治療の段階、治療後の移行段階、経過観察の段階のどの段階にあっても回答できるようにした。内容的妥当性の検討のため、2名のがん治療体験のある人に、質問内容のわかりにくさや、回答肢のつけにくさがないかについて考察を依頼した。意見感想に沿って質問項目を修正した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書を倫理委員会に提出し、審査の意見を頂きつつ、研究計画書がよりよいものとなるよう修正し、承認を受ける。その後、研究対象はがんと診断され、治療を経験した20歳以上の患者200名と予定しているため、がん患者会代表者に本研究の調査協力を依頼し、調査依頼文書、調査票、返信用封筒(切手貼付)を、がん患者会会員に配布を依頼する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で県外および海外への学会出張ができず、旅費のための使用がなかった。また、調査研究の実施が遅れており、そのための費用が2022年度に使用する計画となったため。
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