研究課題/領域番号 |
20K10741
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
吉田 みつ子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (80308288)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 妊娠期がん / 親役割 / がんサバイバーシップ / 支援プロセス / ナラティヴ |
研究実績の概要 |
本研究は、女性と家族のがん治療と出産に関する意思決定、出産、育児とがん治療に関する体験、および彼らに関わる専門職者の体験を明らかにし、妊娠期がんと診断された女性とその家族に対する支援プロセスの構造を明らかにすることを目的とする。 2020年度は、妊娠期がんと診断された女性とその家族と専門職者の支援についてシステマティック・レビューを行い、実践および研究の現状と課題を明確化した。データベースはCHINAL、PubMed、医学中央雑誌ver5を使用し、2010年~2020年12月までに公表された海外文献17件、国内文献8件合計25件を分析対象とした。 研究内容は<女性及びパートナーの妊娠期がんの治療に関する意思決定や心理的・認知的側面の特徴>5件(20.0%)、<妊娠期がんと母乳育児・母子関係との関連>4件(16.0%)、<妊娠期がんと子どもの成長発達との関連>3件(12.0%)、<看護の役割、実践モデルの構築>9件(36.0%)、<妊娠期がんのケアに関する基準>4件(16.0%)に分類された。 妊娠期にがんと診断された女性が経験する葛藤や心理的な苦痛は、妊娠・出産時期のみならず、出産後も長期間にわたること、妊娠中のがん治療が子どもにもたらす影響が未知数であることへの不安、母乳育児の困難、がん治療を継続しながら育児を行うことへのストレスが明らかになった。今後、妊娠期にがんと診断された女性と家族の支援モデルを検討していく際には、女性と家族が、親としての役割と同時にがんサバイバーシップをどのように形成しているのかという2点に着目することが重要であると考えられた。その上で、多職種、他部門、学際的チームでどのようにかかわるかについて検討していくことが重要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度計画では、国内外において妊娠期がんの診療実績を有する施設、NPO団体等にヒアリング調査を行い、臨床実践現場における現状と課題を明確化すること、国内の総合周産期母子医療センター、妊娠期がんの診療実績を有する施設、NPO団体等に研究協力を依頼し、インタビュー調査対象となる女性と家族、専門職者の紹介について具体的な打ち合わせを行い、研究計画書を洗練、研究倫理審査委委員会より研究計画書の承認を得る計画をしていた。しかし、COVID19感染拡大の影響によって、国内外の医療機関へのヒアリング調査や調整を行うことはできず、文献、資料を通しての情報収集を実施した。システマティック・レビューは計画通り実施し、今後の調査の視点を焦点化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度9月までに、1)2020年度実施予定であった国内外で妊娠期がんの診療実績を有する施設、NPO団体等にヒアリング調査を行い、臨床実践現場における現状と課題を明確化する、2)国内の総合周産期母子医療センター、妊娠期がんの診療実績を有する施設、NPO団体等に、研究協力を依頼しインタビュー調査対象となる女性と家族、専門職者の紹介について具体的な打ち合わせを行う、3)研究計画書を洗練、研究倫理審査委委員会より研究計画書の承認を得る。そして、4)2021年10月以降に、女性と家族、専門職者に対するインタビュー調査を実施し、データ分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19感染拡大の影響により、国内外の医療施設、NPO団体等へのヒアリング調査が未実施となったことで、旅費および謝金を使用せず、次年度使用額が生じた。2021年度は、2020年度に計画予定をしていたヒアリング調査及び研究参加者の調整を行い、旅費、謝金を使用する予定である。
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