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2021 年度 実施状況報告書

妊娠期がんと診断された女性と家族に対する支援プロセスの構造

研究課題

研究課題/領域番号 20K10741
研究機関日本赤十字看護大学

研究代表者

吉田 みつ子  日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (80308288)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード妊娠期がん / 親役割 / がんサバイバーシップ / 支援プロセス / ナラティヴ / 助産師
研究実績の概要

本研究は、妊娠期がんと診断された女性とその家族に対する支援プロセスの構造を明らかにすることを目的とする。2021年度は、妊娠期がんと診断された女性の妊娠、出産、育児にかかわったことのある看護専門職のうち、助産師7名に対してインタビュー調査を行い、データを分析した。助産師の実践は、妊娠・出産・育児という時間的経過によって、妊婦検診時のがんの発見、妊娠の継続/中断に関する選択の後押し、がん治療を受ける妊婦のモニタリング、出産直後に開始されるがん治療・授乳/断乳・育児に関するサポート、子どもを失った女性や女性を失った家族のグリーフに対する関わりが明らかになった。
助産師の語りは、がんの診断にともなう妊娠の継続/中断、妊娠中のがん治療の有無、出産後のがん治療の有無、出産後の女性の予後、が語りのプロット(筋書:女性と家族にどこで何が起こるか、それからどうなるか、どのように進んでいくか)を構成していることが明らかになった。助産師の実践経験は14のナラティヴとして再構成し、記述した。助産師は、妊娠期がんと診断された女性を「お母さん」として捉え、女性や家族が子どもを授かったことをいったん受けとめられるように関わることを大事にしていると考えられた。それは妊娠を中断し子供を亡くした女性に対して助産師だからこそできる支援であると意味づけられていた。これらの結果は、産科とがん治療科との連携のあり方において重要な示唆を与えるものと考える。
今後、がん治療に関わる看護師、地域で女性にかかわる看護師、保健師等に対するインタビュー調査を継続実施し、さらに妊娠期にがんと診断された女性と家族へのインタビュー調査も計画し、支援モデルを検討していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度計画では、2020年度から持ち越している1)国内外で妊娠期がんの診療実績を有する施設、NPO団体等にヒアリング調査を行い、臨床実践現場における現状と課題を明確化すること、2)インタビュー調査として妊娠期がんと診断された女性と家族10~15名、看護専門職者(助産師、看護師、保健師)10~15名にインタビューを実施し、データ分析を行う計画であった。しかし、COVID19感染の影響が持続し、国内外の医療機関へのヒアリング調査や調整を行うことはできず、看護専門職者のうちの助産師へのインタビュー調査を集中的に実施し、分析した。これらの結果は、今後のインタビュー調査の基盤になるものと考えられた。

今後の研究の推進方策

2022年度は、1)2021年度から継続して妊娠期がんの女性と家族にかかわったことのある看護師、保健師を対象としたインタビュー調査を実施しデータを分析する、2)2020年度から延期している国内外で妊娠期がんの診療実績を有する施設、NPO団体等にヒアリング調査を行い、臨床実践現場における現状と課題を明確化する、3)国内の総合周産期母子医療センター、妊娠期がんの診療実績を有する施設、NPO団体等に、研究協力を依頼しインタビュー調査対象となる女性と家族、専門職者の紹介について具体的な打ち合わせを行い、女性と家族に対する研究計画書を洗練、研究倫理審査委委員会より研究計画書の承認を得る。5)可能であれば女性と家族、専門職者に対するインタビュー調査を実施し、データ分析を行う。

次年度使用額が生じた理由

COVID19感染の影響が持続しており、国内外の医療施設、NPO団体等へのヒアリング調査が未実施となったことで、旅費および謝金を使用せず、2022年度使用額に変更が生じ
た。2022年度は、2020、2021年度に計画予定をしていたヒアリング調査及び研究参加者の調整を行い、旅費、謝金を使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 妊娠期にがんと診断された女性と家族の体験、ケアの現状と課題に関する文献検討2021

    • 著者名/発表者名
      吉田みつ子・喜多里己・谷口千絵・遠山義人
    • 学会等名
      日本看護科学学会第41回学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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