研究課題/領域番号 |
20K10746
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
玉木 敦子 神戸女子大学, 看護学部, 教授 (90271478)
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研究分担者 |
大谷 利恵 神戸女子大学, 看護学部, 講師 (00509127)
高橋 秋絵 神戸女子大学, 看護学部, 助教 (50802435)
市川 久美子 神戸女子大学, 看護学部, 助教 (60846434)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 発達障害 / 妊産婦 / 生活 / 育児 / 困難 / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
①妊産婦の発達障害の特性に関連する生活・育児上の困難をアセスメントするためのツールを作成するにあたり、関連する尺度(発達障害特性の測定尺度、発達障害特性に関連する適応行動尺度、産後用セルフケアチェックリスト)について検討した。その結果、ツールを用いたアセスメントを妊産婦の生活・育児の支援につなげるには、発達障害特性を十分理解しつつも、妊産婦のセルフケアにもとづいて項目を作成する必要があると考えられた。 ②発達障害の特性をもつ妊産婦の生活・育児上の困難を明らかにすることを目的に、発達障害の特性をもつ妊産婦の体験が記された書籍、および関連する先行研究を文献検討した。医中誌WebおよびKNOWLEDGE WORKERを用いて検索し、「妊産婦の生活および育児上の困難が記載されていること」、「妊娠期および産後1年程度の内容であること」を文献の選定条件として、11件の研究論文と8件の書籍を分析対象とした。妊産婦の生活および育児上の困難をセルフケアの視点で分析した結果、妊娠期については、『出産や育児の準備等をとことん追求してしまう』『妊娠中の事ではなく育児の事ばかりが気になる』等、産後については、『育児や家事を完璧に全力でやろうとしてしまう』『児が泣いている理由や接し方が全く分からないことによる恐怖や混乱がある』等の困難が明らかとなった。得られた結果から、妊娠期および産後の生活・育児に係るセルフケア全般において、発達障害の特性による著しい困難を体験していることが示唆された。そのため、妊娠期から産後にかけて、より早期に困難を把握し、積極的に支援することが必要であると考えられた。ただし、今回は、分析対象となった文献が限られており、特に妊娠期の記述が多くなかったことから、得られた結果は限定されたものであると考えられた。今後は発達障害の特性をもつ母親を対象に面接調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度、発達障害の特性をもつ妊産婦の体験が記された書籍、および関連する先行研究の文献検討と、2021年度以降に予定していた関連する尺度(発達障害特性の測定尺度、発達障害特性に関連する適応行動尺度、産後用セルフケアチェックリスト)についての検討は行えたが、新型コロナ感染症の感染拡大により、発達障害の特性をもつ母親10名程度を対象とした面接調査を行うことができなかった。面接調査を通して文献検討で得られた結果の妥当性について検討する予定であったが、それができなかったため「やや遅れている」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、発達障害の特性をもつ母親10名程度に面接調査を行い、2020年度に行った文献検討の結果の妥当性について検討する。対面調査が困難な場合は遠隔での面接を検討する。また、地域母子保健医療において妊産婦の支援に携わる看護職10名程度を対象に面接調査を行い、発達障害の特性をもつ(疑いを含む)妊産婦を支援する際に捉えた妊産婦の生活・育児上の困難を明らかにする。ただし新型コロナ感染症対策のため、地域母子保健関係者は多忙を極めているため、面接調査の実施が困難な場合は2022年度の調査実施も検討する。 2021~2022年度は、面接調査および文献検討の結果をもとに、妊産婦の発達障害の特性に関連する生活・育児上の困難をアセスメントするツール(案)を作成する。 2022年度は、専門家(精神科医、産科医、保健師、助産師等)と当事者(発達障害の特性をもつ母親)によって、開発したツール(案)の内容的妥当性を評価する。また、妊娠初期の妊婦(妊娠届出時)、妊娠後期の妊婦(妊婦健診時)、産後の母親(乳児健診または新生児訪問時)各100名程度を対象に開発したツール(案)のプレテストを行い、プレテストで得られた結果を統計的に検討して、項目の改良と選択を行う。 2022年度後半から2023年度は、精錬したツールについて本調査を行う。各時期の対象者数は開発したツールの項目数×10名程度とする。本調査の結果を統計的に分析し、信頼性、併存妥当性(発達障害特性、適応行動の測定尺度との相関をみる)、構成概念妥当性(抑うつ、ボンディング、QOLの測定尺度との相関をみる)、因子妥当性を評価する。さらにアセスメントツールを精錬するために因子分析による質問項目の選択を行った上で、精錬されたアセスメントツールの信頼性と妥当性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の感染拡大により、2020年度に予定していた面接調査が実施できなかったことから、研究参加者への謝礼、テープ起こし委託費等を使用しなかった。また学会がWEB開催となったため成果発表のための国内旅費を使用しなかった。 2021年度は2020年度に予定していた発達障害の特性をもつ母親10名程度を対象にした面接調査を含め、地域母子保健医療において妊産婦の支援に携わる看護職10名程度を対象にした面接調査を行い、また文献検討と面接調査結果をもとに妊産婦の発達障害の特性に関連する生活・育児上の困難をアセスメントするツール(案)を作成する予定なので、それに係る謝礼、テープ起こし委託費、成果発表・調査のための国内旅費、研究補助に対する謝金等を使用する計画である。
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備考 |
玉木(研究代表者)が日本うつ病学会「うつ病看護ガイドライン」(2020年):6.対象に応じたうつ病看護6-2. 周産期(pp.22-24)を担当した。
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