研究課題/領域番号 |
20K10748
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研究機関 | 天理医療大学 |
研究代表者 |
山中 政子 天理医療大学, 医療学部, 教授 (80744416)
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研究分担者 |
鈴木 久美 大阪医科薬科大学, 看護学部, 教授 (60226503)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | がん疼痛 / セルフマネジメント / 通院患者 / 看護介入プログラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、研究代表者が開発した『通院患者のがん疼痛セルフマネジメントを促進する看護介入プログラム(Cancer Pain Self-management; CPSMプログラム)』を洗練化し、その有効性を検証することである。研究は2段階で進める。 1段階目の目的は、実際に本プログラムを臨床適用した看護師を対象にフォーカスグループインタビューを実施し、プログラムを用いた看護ケアの実際やプログラムの臨床適用可能性を明らかにすることである。質的帰納的に分析した結果、患者の反応のカテゴリーは【もっと話を聞いてほしいと思っていた】【痛み緩和の目標に希望を見出していた】【痛みと鎮痛薬、生活に対する自己分析力と対処力が向上していた】【鎮痛薬に関する主治医への交渉力が向上していた】【プログラム終了後も痛みのセルフマネジメントを続けている】、看護師の気づきのカテゴリーは【個別介入により患者理解が深まる】【患者との信頼関係の構築につながる】【患者のセルフマネジメント力の高まりを実感する】【介入対象を見いだし患者の自主性を重んじる介入を行う重要性を実感する】、運用上の課題のカテゴリーは【外来看護業務の繁雑さ】【介入対象をもれなく見出すシステムの構築】【プログラムの内容や教育冊子の改善】【プログラム導入のための看護師教育体制の整備】が抽出された。この結果をもとにプログラムをより洗練化した。 2段階目の研究の目的は、がん疼痛のある通院患者を対象にした対照群をおく非ランダム化比較対照試験により本プログラムの有効性を検証することである。研究実施施設として5か所の施設を確保した。現在、研究代表者の所属機関の研究倫理審査の承認を得、各施設での研究倫理審査の準備または受審を行っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R3年度は計画通りフォーカスグループインタビューの分析を行った。また、本研究に先がけて実施していた「CPSMプログラムの臨床的有用性の評価」を論文化した。 本研究は、病院で勤務する認定看護師や専門看護師が、CPSMプログラムを使用してがん疼痛のある通院患者への看護介入を実施するものである。R3年度も新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、研究実施施設の確保に困難を極めたため、2段階目の研究開始が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
R4年度は、『通院患者のがん疼痛セルフマネジメントを促進する看護介入プログラム(CPSMプログラム)』の有効性を検証することを目的に調査を実施する。研究のデザインは、非ランダム化比較対照試験である。対象者は、研究実施施設に通院する20歳以上のがん疼痛のある患者で、通常ケアを受ける対照群とCPSMプログラムを用いた看護介入を受ける介入群に、各35名を組み入れる。CPSMプログラムの主要アウトカムは痛みの軽減・QOLの向上、副次アウトカムは自己効力感の高まり・鎮痛薬の効果的使用、心理的安定である。調査内容は、①基礎データ;年齢、性別、病名、鎮痛薬の処方内容など、②痛みの強さ・日常生活活動への支障・鎮痛効果;Brief pain inventory (short form)日本語版(BPI-J)、③QOL;MOS Short-Form 12 item Sort-form health survey (SF-12)日本語版、④自己効力感;Pain Self-Efficacy Questionnaire日本語版(PSEQ-J)、⑤不安と抑うつ;Hospital anxiety and depression scale (HADS)日本語版、⑥看護介入プログラムに対する患者評価である。データ収集方法は自記式質問紙調査で、調査時期は、介入前と2回目介入後、3回目介入後(対照群はベースライン、3週間後、6週間後)とする。介入前後の比較、両群の比較、変化量を分析する予定である。現在、研究実施施設の研究倫理審査の準備または受審の段階にあり、承認が得られた時点で調査を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
R3年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、学術学会がリモート開催となり交通費や宿泊費の使用がなかった。また、研究協力者との打ち合わせ会議も、研究実施施設に訪問したり、1か所に集合しての対面会議ができずリモートにて打ち合わせを行った。そのため次年度使用額が生じた。 R4年度は、研究実施施設に訪問して看護介入プログラムの説明を行う必要があり、さらに学会参加による旅費・宿泊費がかかる。また、分析用のパソコン購入や統計ソフトの購入が必要になる。
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