研究課題/領域番号 |
20K10761
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
油野 規代 公立小松大学, 保健医療学部, 講師 (10827108)
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研究分担者 |
加藤 真由美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20293350)
坂本 めぐみ 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (50279577)
鋤柄 増根 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (80148155)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | がん患者 / 転倒 / 損傷状況 / 特徴 / 骨折 |
研究実績の概要 |
がんを罹患し療養を続ける中で転倒をしたがん患者の特徴を明らかにし、がん患者の転倒予防への示唆を得ることを目的し文献レビューを行ている。検索は医学中央雑誌Web版Ver.5を用いた。検索対象年は1984年~2021年とし、キーワードは、がん、癌、肉腫、悪性新生物、悪性腫瘍、and転倒・転落とした。絞り込みは原著論文and症例報告、原著とし書籍、解説・総説・特集、会議録を除いた。その結果、583編の論文が抽出された。抄録を精査し、がんの治療中、がんの経過観察中に転倒を生じた症例をハンドリサーチした。症例報告の内容は、転倒との関連において損傷治療を要したもの、転倒要因の検討、転倒によってがん治療に影響した症例等92編を採択した。1文献に複数の症例が見られたことから97事例を分析対象とした。採択除外基準は転倒予防症例、転倒リスク症例、小児の症例は除外した。文献レビューの結果から論文の筆頭者は医師が約9割、発表雑誌の種類は整形外科専門雑誌が約3割を占めていた。転倒との関連分類においては転倒後の治療・処置に関連した報告が約2割であった。転倒患者は女性が約57.5%、年齢では70歳代が最も多かったが、75歳未満が75.3%であり、がん患者の転倒は、活動的に社会生活を送る年代層の転倒が多かった。疾患名では乳がん患者が21.6%であった。転移は69.1%に認め骨転移が43.3%であった。転倒前の過去の治療は手術療法が42.3%、化学療法が34%であり両方を経験している患者は19.6%であった。転倒要因としては、疼痛が26.8%であった。転倒によって損傷を生じた患者は90.7%であり、骨折が68.0%であった。その内訳は、大腿骨骨折が50.5%であった。非大腿骨骨折が17.7%報告されていた。その要因として骨吸収抑制剤の長期的使用が指摘されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
がん患者の転倒の特徴を明らかにするために文献レビュ―を行っていたが、医師による症例報告であったことから、病態の理解が難しく、結果の分析に困難を要した。また、転倒後の治療への症例報告が主な内容であったことから、転倒に関連した内容に焦点が当てられておらず、患者背景、転倒状況の記述が明確でないことから、文献を読み込むのに時間が掛っている。
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今後の研究の推進方策 |
がん患者の転倒の特徴を明らかにし、論文としての発表を行う。現在、地域がん拠点病院に勤務するがん患者に関わる多職種に「がん患者の転倒への認識」に関してインタビューしている最中であるが、新型コロナウィルスの感染拡大を受け病院内への出入りができず、データ収集が思うように進まない状況である。今後は多職種におけるがん患者の転倒への認識をテキストマイニングによって明らかにしていく。その上で、文献レビュ―から明らかになったがん患者の転倒の特徴と合わせ、がん患者の転倒リスクを明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国調査の質問紙の印刷および郵送代。データ分析ソフトの購入。電子カルテシステム学会発表のための参加費および資料作成。
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