研究課題/領域番号 |
20K10766
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
秋原 志穂 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (30337042)
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研究分担者 |
米澤 洋美 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (10415474)
山田 修平 北海道科学大学, 保健医療学部, 助教 (50806982)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 結核 / 患者QOL / 隔離 / ストレス |
研究実績の概要 |
2021年度から2022年度の計画は、隔離状況下にある結核患者のストレス(時間的変化を含む)を質的・量的・実験的調査手法を用いて明らかにし、QOLと関連を明確にすることであった。そのため、全国の結核病棟のある施設にて、長期入院している患者を対象にインタビューを行う計画であったが、新型コロナウイルス流行の影響で、予定どおりに研究を実施することができなかったが、一部看護師対象の質的研究に替えて実施した。 関西地方の多剤耐性結核患者の病床を持つ施設において、多剤耐性結核患者の看護を実践している看護師7名に、患者の特徴や看護について半構造的インタビューを実施した。多剤耐性結核患者の特徴として【外国人ならではのコミュニケーションの難しさがある】、【外国人の病気の理解のしづらさ】、【不安と苦痛が強い】の3カテゴリー、多剤耐性結核の看護では【精神的サポート】【患者指導】、【多職種連携】、【多剤耐性結核看護の難しさ】の4カテゴリーが抽出された。外国人が多く,看護師は、コミュニケーションに困難を感じながらも限られた治療であるため多職種と連携し、退院後も治療継続できるよう支援していた。また苦痛を持つ患者への看護の難しさも感じていた。 結核患者のQOLについて文献検討を行った。「tuberculosis」、「QOL」をキーワードにPubMednite検索を行った。30文献より、結核患者のQOLは健康な人に比べて低いことが明らかであった。QOLに影響する要因は多岐に渡るが主なものは、「うつ症状」、「副作用」、「スティグマ」、「経済的負担」、「身体的状況」であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年に引き続き新型コロナウイルスの流行により、結核病床は大きな影響を受けている。結核病棟は新型コロナウイルス専用の病床になったり、他地域の結核患者を集約して収容するなどがあり、また、病院は面会禁止など部外者の入構を制限しているため研究の協力ができる状況ではなかった。緊急事態宣言が発出されたり、出張の制限があり、研究打ち合わせや研究データの収集のための出張が不可能であった。一部内容を変更して研究データの収集を行った。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの流行が収束した場合は、昨年予定していた①質的調査:全国の結核病棟を持つ施設のうち、3~5施設の結核病棟にて長期入院している患者を対象にフォーカスグループインタビューを行う。フォーカスグル―プは5~8人とし、患者に入院してからの環境、身体的変化、心理的変化、ストレスについて語ってもらう。会話を逐語録にし、質的帰納的に分析し、ストレスの内容、ストレス要因、ストレスの程度やその経過について明らかにする。 ②患者ストレスとQOL調査:全国の結核病棟のある施設のうち100施設1000名の患者に対して質問紙調査を実施する。1施設あたり10名の患者を対象に入院直後、入院後1カ月、入院後2カ月のストレスとQOLおよび関連因子について調査する。 新型コロナウイルス流行で、直接患者への調査が不可の場合は、質問紙調査のみとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウイルス流行の影響で、研究打ち合わせ、データ収集の実施ができなかった。2022年度は2021年度に実施できなかった分について可能な範囲で実施する。具体的には、全国の結核病棟に入院している患者のフォーカスグループインタビューに伺うための研究旅費である。しかし2022年度も新型コロナウイルスの流行が収束しない場合、結核病棟直接患者と接することが難しい場合は研究計画の変更について検討せざるを得ないため、質問紙による調査に変更する。質問紙調査のための打ち合わせ、質問紙の印刷、郵送費、データ入力のための人件費などが必要になる。
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