研究課題/領域番号 |
20K10798
|
研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
櫻井 信人 関西国際大学, 保健医療学部, 准教授 (40405056)
|
研究分担者 |
長谷川 雅美 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (50293808)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 自死遺族 / 自助グループ / アクションリサーチ / ポストベンション / 自殺対策 / 心的外傷後成長 |
研究実績の概要 |
本研究はアクションリサーチの手法を用いて自死遺族グループを発展的に運営し、その変容過程を明らかにすることを目的としている。自死遺族グループの変容過程を可視化し、自死遺族の心的外傷後成長についても考察をした上で、自死遺族の心的外傷後成長に寄与する自死遺族グループの構築を目指している。 本研究では、自死遺族グループの活動がデータとなるが、研究開始時よりCOVID-19の影響を大きく受け、自死遺族グループの開催ができないことがあった。2021年度は計8回開催して延べ52名の参加、2022年度は計11回開催して延べ65名の参加があった。2023年度は中止になることなく計画通りに毎月開催でき、延べ73名の参加があった。 2021年度はCOVID-19の影響を受けながらも、参加者とスタッフの力が向上し、グループの進化が認められた。2022年度はその力を維持しながら、活動を進めている状況が確認された。研究対象者の参加目的は、語ることからつどうことに変容しており、参加当初の気持ちの揺れ動きや落涙の時間は減少していた。また、新規参加者が来た際は話を傾聴して、自身の体験を語る様子が確認された。2023年度はつどいという意味合いがさらに強くなり、スタッフと対等な関係でグループが発展していた。新規参加者がいた場合は、スタッフと研究対象者が協力しながら新規参加者をサポートし、研究対象者がファシリテーターとなることもあった。 精神状態の安定、自己から他者への意識の変化、受動的参加から能動的参加への変化、参加目的の変化など、研究対象者の変化は自死遺族グループの参加を通して体得した心的外傷後成長と捉えられる。自死遺族グループの中で研究対象者は変容していき、またグループ自体も発展していった。2024年度も活動を継続しながら自死遺族グループを発展させ、自死遺族の心的外傷後成長を可視化していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年と2021年はCOVID-19の影響により、自死遺族グループを開催できない状況が生じていた。そのため当初計画より研究期間を1年延長することとなった。本研究はアクションリサーチを用いているため、定期的に自死遺族グループを開催し、データを収集していく必要があり、研究期間全体で見ると進捗はやや遅れている。2023年度はCOVID-19の影響を受けることなく、自死遺族のつどいを月に一回開催することができた。2023年度のデータ収集は計画通りに進めることができ、自死遺族グループの変容や自死遺族の心的外傷後成長についてデータを取ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度も月一回の頻度で自死遺族グループを開催する。本研究の最終年度として、これまでの自死遺族グループの変容について、研究対象者とともに振り返り確認を行う。また、研究対象者自身の変化についても話し合い、自死遺族グループへの参加を通して今に至る変化や心的外傷後成長の確認をする。継続的な開催に向けて、研究対象者の自死遺族グループに対する願いを確認し、今後の自死遺族グループのあり方を検討し見出していく。研究終了後も自死遺族グループとして活動が継続できるようにする。今年度は、自死遺族グループに参加する自死遺族の心的外傷後成長について自殺予防学会で発表する。また研究最終年度として本研究の論文を完成させる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、自死遺族グループを開催できない期間が生じた。本研究は、研究手法としてアクションリサーチを用いており、自死遺族グループの活動がデータとなる。開催できなかった期間はデータを収集できず、研究期間を1年延長することとした。そのため次年度使用額が生じている。
|