研究課題/領域番号 |
20K10807
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
三枝 香代子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (80248864)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 運動器外傷 / 下肢開放骨折 / 希望 |
研究実績の概要 |
2020年度は、医学中央雑誌Web版を用いて運動器外傷患と希望に関する文献調査を行った。外傷による健康被害は1960年以降の交通外傷による外傷死傷者数の急増という社会問題からはじまった。そのため国内の疫学データは、外傷発生時の情報が主となっており長期予後に関する情報は少ない。交通事故外傷による後遺症においては、後遺障害者(交通事故により労働能力が低下あるいは喪失し、自賠責の等級に該当するもの)を毎年55000~60000人認定しており、損傷した身体の治療が終了しても機能転帰は不良である。後遺障害者の7割は30~69歳の働き盛りであり、損傷部位別にみると頭部や胸腹部は3割、上肢や下肢、腰部の運動器は7割であった。運動器損傷である四肢骨折内固定術後の4名中1名は再手術を受けており、長期的な身体的問題が生じている。この再手術の危険因子は下肢骨折、開放骨折、多発外傷と報告されており、特に下肢開放骨折は、長期的なQOL低下に影響を及ぼす要因でもあった。これらのことより、下肢開放骨折患者に着目することは重要である。 希望に関する先行研究では、外傷でケアを必要とする人は、医療従事者の存在や行動が患者の希望の感情をサポートし、その結果、患者は感情的および身体的な前進を促進したと報告した。Snyder Hope Scaleを用いた調査においては、ホープスコアが高い脊髄損傷患者は低い場合に比べて心理社会的な障害度が経時的に改善することを示唆した。また、ホープスコアが高かった若年1型糖尿病患者のHbA1cで評価した血糖コントロールは良好であったと報告した。このように、希望を持ち維持していくことは回復を進めるきっかけになり、希望は患者にとって心理的なエネルギーの不可欠な源であることが明らかになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献検索と文献収集に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、調査に向けて関東圏内の救急医療施設の倫理審査を進める。インタビュー調査を行い、希望をもたらす要因、希望を弱める要因を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度のインタビュー後の逐語録の費用として使用する予定。
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