2020 年度実施状況報告書

地域で生活する統合失調症をもつ男性が抱える恋愛や性行為特有の問題への支援

研究課題

研究課題/領域番号	20K10809
研究機関	奈良県立医科大学
研究代表者	橋本顕子奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00381971)
研究分担者	風間眞理奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20347371)
研究期間 (年度)	2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード	統合失調症 / 恋愛関係 / 性行動 / 精神保健サービス
研究実績の概要	本研究は、統合失調症を持つ男性が抱える恋愛や性行為特有の問題を解決するために、地域で生活する統合失調症を持つ男性や施設を対象に、恋愛や性行為に関する年齢に応じた考えや悩み、その対処や支援を明らかにすることを目的とした調査を行う。 2020（令和２）年度は、統合失調症を含む精神障害を持つ人の恋愛や性行為特有の問題に対する支援の実態調査のため、質問紙原案を作成することに取り組んだ。また施設の恋愛や性行為特有の問題に対する支援に影響する要因について、関連する文献検討を行った。これらから調査項目を作成し、予備調査として質問紙の信頼性や妥当性の検討に進む予定であった。しかし調査対象となる施設に関して、コロナ感染症対策として3つの密（密閉、密集、密接）を避けるため、施設の閉所や利用時間短縮、閉所による利用者の電話での状況確認や家庭訪問支援など施設の活動状況などにより調整が遅れるなど課題があり、妥当性の予備調査に取り掛かれずにいる。同年度に、地域で生活する統合失調症を持つ男性の恋愛や性行為に関する年齢に応じた考えや悩み、その対処のインタビュー調査や実態調査のため、インタビュー調査項目や質問紙原案を作成することに取り組んだ。また恋愛や性行為特有の問題に影響する要因について、関連する文献検討を行った。これらからインタビュー調査項目や質問紙原案を作成し、予備調査としてのインタビュー調査に進む予定であった。しかし予備調査の協力者のリクルートに関して、リクルート協力を依頼する支援施設の活動状況などにより調整が遅れるなど課題があり、予備調査に取り掛かれずにいる。また、実態調査についてはインタビュー調査での結果も含めて質問紙原案を精選する予定であった。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 4: 遅れている理由調査項目を作成し質問紙の信頼性・妥当性の検討や、インタビュー調査項目を作成しインタビュー調査の予備調査に進む予定であった。実態調査やインタビュー調査の調査協力施設、および、統合失調症を持つ男性のリクルートに関して、施設の活動状況などにより調整が遅れるなど課題があり、質問紙の妥当性およびインタビューの予備調査に取り掛かれずにいる。
今後の研究の推進方策	今年度は、精神科デイケアまたは地域活動支援センター、障害福祉サービス事業所といった支援施設を対象とした実態調査の質問紙の信頼性や妥当性の検討を行い、調査項目を精選する。精選した項目を用いて、支援施設500施設程度に調査し、支援施設による統合失調症を含む精神障害を持つ人の恋愛や性行為特有の問題に対する支援の実態を明らかにする。また2020年度に行った文献検討をもとに関連要因についても併せて調査する。さらに、支援施設を利用する統合失調症をもつ男性を対象としたインタビュー調査の予備調査の検討を行う。検討後に修正したインタビュー内容を用いて、支援施設を利用する統合失調症をもつ男性50人程度にインタビュー調査し、地域で生活する統合失調症をもつ男性による恋愛や性行為に関する年齢に応じた考えや悩み、その対処を明らかにする。また2020年度に行った文献検討をもとに関連要因についても併せて調査する。恋愛や性行為特有の問題は、偏見や誤解または情報不足からあまり支援の対象に取り上げられてこなかったが、支援施設や統合失調症をもつ人にある程度の情動を伴うようなセンシティブなトピックである。そのため、施設職員による質問紙の妥当性の検討や統合失調症をもつ男性によるインタビュー調査や実態調査の予備調査が必要である。交流のある調査協力施設やその利用者を対象にリクルートを行う予定であったが、調査協力施設を全国の施設に、その施設を利用している人にリクルート先を広げることも検討する。また、オンライン会議などを取り入れて、質問紙の妥当性など調査項目を精選し、インタビュー時の諸注意などのインタビュー調査について検討する予定である。その後、倫理審査委員会の承認を経て、調査に進む予定である。
次年度使用額が生じた理由	当該年度に予定していた実態調査やインタビュー調査、および、それらの予備調査は、コロナ感染症対策として3つの密を避けるための施設の活動状況などにより取り掛かれず、次年度に予定している。そのため、当該年度に予定していた調査による郵送費および交通費の支出額を翌年度分として請求した。