研究課題/領域番号 |
20K10811
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
山中 福子 高知県立大学, 看護学部, 講師 (60453221)
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研究分担者 |
下元 理恵 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 講師 (60553500)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心不全 / 患者教育 / 連携 |
研究実績の概要 |
研究は、心不全重症化予防のための行動変容に必要な患者教育を成果(アウトカム評価)の視点から捉えなおし、地域で完結する医療提供体制での心不全患者のための教育連携プログラムを開発するものである。令和3年度は、令和2年度から引き続きの課題である心不全患者に対して実施されている教育支援内容とその評価の実態、および他施設との連携による教育支援の成果について検討した。心不全患者は、在宅支援施設、かかりつけ医などの外来、急性期病院での入院・外来と心不全患者が利用するすべての施設で教育支援が行われている。教育の成果としてのアウトカムの要素の明確化に向けて心不全患者に直接行っている支援の成果としてとらえているものを先行研究の分析を行った。 結果:外来、入院といった療養場面がかわる毎に患者の状況を把握する目的でこれまでの患者のセルフケア行動である①体重や血圧、浮腫などのセルフモニタリングと対応の状況、②増悪因子である服薬・食事療法の遵守状況などのセルフケア行動をとらえていた。①②は、患者・家族への教育支援の成果(アウトカム評価)ともいえる。また、これらのセルフケア行動については、心不全手帳の活用状況からも捉えていた。しかし、教育支援の結果である患者がどの程度セルフケア力が身に付いたかという評価を次の療養の場へとつなげているかは不明であった。また、心不全スケージによって支援の目標が異なるため、患者教育の成果(アウトカム評価)の視点も異なる。まずは最も学習支援が必要である心不全ステージB、Cに焦点を絞る必要があることが明らかとなった。 結論:心不全患者に対して行っている教育支援とその評価として、心不全のセルフケア行動の評価をすることが明確となった。また、教育連携の方法として、心不全手帳など連携ツールの活用を検討する必要性が明確となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度、2021年度は、心不全患者に対して実施されている教育支援内容とその評価の実態、および他施設との連携による教育支援の課題を明らかにするために、急性期病院、在宅療養支援している施設への聞き取り調査を行う予定であった。しかし、COVID-19感染拡大およびワクチン接種に伴い、施設訪問の制限や従来の診療体制と異なる体制をとった施設が多く調査結果への影響、および負担が大きくなることが懸念されたため、調査が実施できなかった。また、心不全スケージによって支援の目標・教育支援の成果(アウトカム評価)が異なるため、最も学習支援が必要である心不全ステージB、Cに焦点絞った調査内容を再考したため、調査に至らなかった。 以上のことから令和3年度の達成度としては、「遅れている」となった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、調査を実施し、その結果をもとに継続アウトカム評価指標案を作成する。 調査内容は、①心不全患者(ステージB.C)に対して行っている教育支援とその評価内容・方法、困難な事例 ②他施設と連携したツール、教育支援するうえでの困難や課題について行う。対象施設数は、都市部、地方都市部(高知県)の急性期病院、回復期療養型病院、診療所など在宅療養支援施設の3職種(医師、看護師、理学療法士等)計30名程度に実施する。データ収集方法は、感染予防に配慮し、訪問およびWeb会議システムなどを用いた聞き取り調査を行う。 調査結果をもとに各医療施設の状況(急性期病院やかかりつけ医など医療施設の機能、在院日数、活用できる人的資源、連携ツールなど)を分類し、教育支援内容とアウトカム評価の基準を設定し、指標案を作成する。また、基準の修正が必要な要素(年齢、認知レベル、ヘルスリテラシー、経済状況、医療資源、支援者の存在などを予測)を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査を実施し、その結果をもとに継続アウトカム評価指標案を作成する。作成した継続アウトカム評価指標案を用いて継続調査を行う予定である。
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