研究課題/領域番号 |
20K10818
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
高村 夢香 日本福祉大学, 看護学部, 助教 (50756666)
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研究分担者 |
神崎 初美 兵庫医療大学, 看護学部, 教授 (80295774)
白尾 久美子 日本福祉大学, 看護学部, 教授 (80269703)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 関節リウマチ看護 / 生物学的治療 / 意思決定 / ディシジョン・エイド / Shared decision making |
研究実績の概要 |
前年度に行った文献検討から関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis;RA)の生物学的製剤(Biologics;BIO)治療選択時期に生じている課題に対して優先的に取り組む方針とした。継続した国内外の文献検討から、RAのBIO治療における意思決定の実態を把握した。投与経路、投与頻度、有効性の可能性、薬剤の効果が出るまでにかかる期間、重篤感染症のリスク、肝障害のリスク、発癌のリスクがBIO治療への意向・好みに影響すると特定されていた。また、利用可能な治療選択肢数は、国や地域の医療制度構造と患者の個人的な状況の組み合わせによって決定されており、限られていることが明らかになっていた。看護師・医師・医療保障制度・健康保険会社といった複数の医療システムレベルによっても利用可能で最大限の治療選択肢が提案されずに制限されている現状があると報告されていた。 RA治療の世界共通ガイドラインであるT2T(;Treat to Target)は、RA治療は患者とリウマチ医の合意に基づいて行われるべきであるという協働的意思決定(Shared Decision Making;SDM)の重要性を明記している。しかし、RA患者、リウマチ医双方を対象にした調査において、T2Tが十分に実践されていないと報告されていた。 BIO治療の有効性は非常に高い一方で、重症感染症等のリスク、高額な治療費、複数の選択肢(種類・特徴・投与方法)といった特徴があり、治療の意思決定は複雑である。このような背景からRAのBIO治療選択における意思決定ガイドの開発に取り組むこととする。意思決定ガイドの開発により、RA患者の意思決定への参加が促進されるだけでなく、個人の価値観や日常生活への影響を吟味することで納得のいく意思決定になる。適切なタイミングでBIO導入ができると関節破壊の進行を抑えることにつながると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画からの修正に加え、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により、本務である領域内実習体制の変更や再編が生じたためスケジュールを管理することが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究を遂行するためには、BIO治療を提示するリウマチ医の視点が必須であることからリウマチ専門医に研究分担者を依頼した。研究分担者の協力を得て、RA患者と医療者の視点を明確にするための方法について検討する。次に、世界で中心的に意思決定支援に取り組んでいるカナダのオタワホスピタル研究機関が開発したオタワ意思決定支援フレームワークと呼ばれる理論的枠組みにしたがってプロトタイプ(試作版)を作成するための準備を行う。新たな研究分担者を加えたことで研究の推進力としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に修正が生じ、調査費用を使用しなかった。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、学術集会がオンライン開催となったことで旅費を使用しなかった。次年度は、RA患者と医療者の視点を明らかにするためのアンケート調査として郵送費やデータ入力委託費の使用を計画する。引き続き、最新知見を収集するための学術集会参加費として使用する。
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