研究課題/領域番号 |
20K10823
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研究機関 | 日本赤十字広島看護大学 |
研究代表者 |
戸村 道子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (00343682)
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研究分担者 |
木村 幸生 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 講師 (70549112)
松本 陽子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助教 (10709166)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 精神科看護 / 倫理的悩み / レジリエンス / 職場環境 |
研究実績の概要 |
精神科医療の現場では、疾患により決断力や自己決定能力の低下をきたしている患者に、強制入院や隔離・拘束等の行動制限が行われている。これらは、患者の人権や個人の尊厳を侵害する危険性をはらんでいる。特に精神科病院に勤務する看護師は、日常生活援助を通して患者に密接にかかわり、そのかかわり自体が患者にとって倫理的であるかどうか注意深く内省していく必要がある。しかし現実的な財政的制限や慢性的な人員不足により、多くの場合、画一化したケア、延々と続く行動制限が行われる等、やがて組織の「日常」として慢性化されてしまう。そしてその組織で働く看護師からも、倫理的な問題としては、取るに足らないもの、仕方がない、とみなされてしまう。このような状況下で、倫理的な悩みを経験する看護師は、不全感を持ち、解決できないまま倫理的問題を看過してしまうことで、やがて燃え尽きや離職してしまう結果に陥ると報告されている。一方、そのような困難な状況にあっても、倫理的な問題を察知し、あきらめることなく患者の回復や自立に向けた援助につなげようと奮闘し、倫理的な悩みを契機として、ケアの質の改善や看護師として成長する機会へと転換できる看護師もいる。 本研究の目的は倫理的な悩みによって、看護師自身も患者ケアの質もマイナスの結果に陥るのではなく、看護師の成長や患者ケアの質の向上へプラスに変換できる倫理的レジリエンスとは何か、職場環境とケアの質の観点からモデルを構築することにある。初年度は、国内外の文献から倫理的レジリエンスの特徴を我が国の精神医療の状況と照らし、関連する概念を明確にすることにある。研究の進行が遅れており、未だ継続中である。今後関連する概念を整理し、職場環境の倫理的レジリエンスを促進する要素は何かについて概念を明らかにすることを試みる。2年目以降は組織的環境や患者ケアの質との関連を調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年以来の新型コロナ感染症蔓延のため、教育や対策など学内業務に多くの時間を必要としたため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に引き続き国内外の文献検討を行い中心概念である倫理的レジリエンスと関連する概念を整理する。今後精神科病院にてスタッフ看護師を教育する立場にある中堅看護師、認定看護師、もしくは専門看護師を対象にインタビュー調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴い学内の教育業務への対応にて研究が遅れていること、計画書申請時に予定していた面接調査が本年度実施できなかったため。
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