研究課題/領域番号 |
20K10829
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
白坂 真紀 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40378443)
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研究分担者 |
底田 辰之 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10464182)
桑田 弘美 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70324316)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 在宅医療 / 医療的ケア児 / 成人期移行支援 / アクションリサーチ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アクションリサーチの研究手法を用いて、在宅医療を受ける子どもが成人として自立する過程を支援する実践を評価することである。小児期に病気を発症し治療を続ける「患児」の多くは、成人期を迎え「患者」と呼ばれる年齢に達する。しかし、小児期を経て大人になった患者が、小児科から成人診療科へ移る際には戸惑いや障壁が生じることがある。 本年度は、医療機関における患児(者)を支える看護師と医師の立場と現状に着目し調査に取り組んだ。ある特定機能病院の小児科に関連する看護師と小児科外来を担当する医師へ面接調査を行った。結果、看護師は患児(者)の成人診療科への移行に賛同しその必要性を認めながらも、具体的な実践介入を行う役割を担ってはいなかった。成人期以降も小児科受診を継続するか、新たに成人診療科で診察を受けるのかを決めるのは、患児(者)とその家族であり、彼らの決定を尊重するという姿勢であった。医師は、患児(者)の成長発達に見合った成人を対象とする医療への移行の必要性を強調していた。患児(者)それぞれに合った成人診療科につなげるため、地域の医療機関を探し紹介状を作成するなど、その実施は各小児科医師の裁量で行っていた。小児期の発達段階を考慮し時期を見計らって患児(者)と家族に説明するなど数年にわたる介入を重ねていた。小児の病気の専門家であるという立場より、患者の成人期特有の疾患や合併症を見落とすことを危惧するなど、患児(者)の生活と将来を考えた診療を行っていた。 新たな患児の診療や子ども自身の今後の社会生活などを考慮すると、患児(者)の成人期に向けた支援は不可欠である。各専門職がチームとなって患児(者)と家族の理解や納得を求めたり、紹介先の成人診療科を選定するなど援助を分担・協働し、患児(者)一人ひとりに適した大人になる過程の支援に取り組む必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の拡大状況より、病院など研究フィールドが制限されたことにより、本来の研究テーマと目的から外れないよう、当初の計画を一部修正して調査に取り組んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、医療機関における子どもの成人期移行に関する支援の実践そのものをデータとして収集し、分析と評価を行う予定である。本年度の実績を成果の一部として発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画の一部を変更したこと、次年度に分担研究者の追加が生じたことが理由である。
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