研究課題/領域番号 |
20K10834
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
永橋 美幸 (荒木美幸) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (10304974)
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研究分担者 |
西谷 正太 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命助教 (50448495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 唾液オキシトシン / 帝王切開術後 / 授乳 |
研究実績の概要 |
本研究では,予定帝王切開術を受けた褥婦を対象とし,授乳期の中でもホルモン動態を示しやすいと考えられるエンドクリン・コントロールの時期にあたる,産後4日と産後6日それぞれについて,授乳前,授乳中,授乳終了30分後の3時点の唾液オキシトシン(以下、OT)を測定し,3時点のOT値に経日的な変化があるかどうか,また2時点のOT(授乳前‐授乳中)の変化量について産後4日と6日で差があるか検討を行った.さらに産後4日と産後6日それぞれについて,2時点のOTの変化に影響を与える要因を明らかにすることを目的とし実施した。13名を最終的な対象者として分析を行った. 産後4日と6日の唾液OT濃度の3時点の経日的変化に有意差は認められず,産後4日と6日の2時点(授乳前-授乳中)の唾液OT濃度の変化量にも差はないことが分かった.産後4日と6日の2時点(授乳前-授乳中)の唾液OT濃度の変化に影響を与える要因は,褥婦の年齢や乳頭の硬度,乳房緊満の有無,授乳回数,術後出血量,術後Hb値及びHct値であった.年齢によりOT分泌に違いがあることを考慮したうえで,乳頭を柔らかくし児に含ませ,頻回授乳を行うと,OTの働きが活性化される可能性が示唆された.また,今回唾液OT濃度の変化量と術後疼痛との関連は見られなかったが,先行研究でOTの鎮痛作用については言及されており,術後の疼痛軽減により褥婦の行動制限がなくなる可能性があるため,疼痛コントロールを行い,積極的に児への接触や授乳行動を支援していくことが必要であると考えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象者が13名と少なくはあるが、研究課題である、唾液オキシトシンの分泌にどのような要因が関係するのか解明することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は予定帝王切開術で出産した産後4日と産後6日にあたる経過に異常が見られない褥婦を対象に研究を実施し対象者数を増やす予定。調査内容は3時点(授乳前,授乳中,授乳終了30分後)の唾液採取と,質問紙調査(基本属性, STAI状態不安・特性不安検査From X)である.また,分娩時の情報,乳房の形態,授乳時の状況,新生児の情報については観察及びカルテより情報収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象者数が予定よりも少なく、分析に必要な物品の購入が不要となったことにより、次年度使用額が発生した。次年度はオキシトシンキット等、研究実施に必要な物品の購入に充てる予定。
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