研究課題/領域番号 |
20K10834
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
永橋 美幸 (荒木美幸) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (10304974)
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研究分担者 |
西谷 正太 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命講師 (50448495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 帝王切開 / 唾液オキシトシン / 授乳 |
研究実績の概要 |
研究計画書の【問い2】唾液オキシトシンの分泌にどのような要因が関係するのか、「DNAメチル化」を含め分析する。 対象は予定帝王切開術後の経過に異常がみられない褥婦14名(初産婦5名、経産婦9名)、産後2日と4日の褥婦のオキシトシン遺伝子のプロモーター領域のメチル化(平均値)について分析した。調査内容は観察、カルテ、自記式質問紙、STAI調査票である。分析は産後2日、4日の授乳前-授乳中の唾液オキシトシン濃度の変化量についてはt検定、対応のあるt検定、産後2日、4日のDNAメチル化と各要因の相関についてはPearsonの積率相関分析、Spearmanの順位相関分析を行った。産後2日、4日の授乳前-授乳中の唾液オキシトシン濃度の変化量については有意な差はみられなかった。産後2日、4日の授乳前-授乳中の変化量、年齢、術後HG、HCT、出血量、産後1日の睡眠時間、乳頭痛、乳房痛、創部痛、後陣痛、児の体重、産後2,4日の状態不安(STAI)特性不安(STAI)において、産後2日、4日の褥婦のオキシトシン遺伝子のプロモーター領域のメチル化に関連はなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書の【問い2】唾液オキシトシンの分泌にどのような要因が関係するのか、「DNAメチル化」を含めた分析については、産後2日、4日の授乳前-授乳中の変化量、年齢、術後HG、HCT、出血量、産後2,4日の状態不安(STAI)特性不安(STAI)等について、産後2日、4日の褥婦のオキシトシン遺伝子のプロモーター領域のメチル化に関連はないことが解明できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、帝王切開術後の褥婦を対象に唾液オキシトシンについて分析を行ったが、DNAのメチル化については経腟分娩との比較を行うことが必要である。 さらに、合成オキシトシン(Synthetic oxytocin以下SynOT)は、陣痛誘発、促進のための子宮収縮剤として外部から投与されるホルモンであり、SynOTの投与が長いほど、OT受容体が減少し感受性が低くなることが指摘されている。しかしながら、SynOTと産後うつ病や不安障害との関連についてエビデンスに基づいた知見が得られておらず、内因性OT測定と併せた研究は見当たらない。よって、SynOTを投与した褥婦における産後早期の内因性OTの経時的変化の追跡や母親の心理状態との関連を明らかに帝王切開術後早期の内因性OTの経時的変化等との比較を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の課題であった帝王切開術後の褥婦の唾液オキシトシン遺伝子のプロモーター領域のメチル化について研究分担者に解析を依頼した。次年度使用額が生じた理由にについては解析に用いる試薬品、消耗品等の支出が予定より少なかったことである。 今年度は帝王切開術後の褥婦の「DNAメチル化」と比較するために経腟分娩後の褥婦の「DNAメチル化」を分析する予定である。さらに、合成オキシトシン(Synthetic oxytocin以下SynOT)は、陣痛誘発、促進のための子宮収縮剤として外部から投与されるホルモンであり、SynOTの投与が長いほど、OT受容体が減少し感受性が低くなることが指摘されている。しかしながら、SynOTと産後うつ病や不安障害との関連についてエビデンスに基づいた知見が得られておらず、内因性OT測定と併せた研究は見当たらない。よって、SynOTを投与した褥婦における産後早期の内因性OTの経時的変化の追跡や母親の心理状態との関連を明らかにし、帝王切開術後早期の内因性OTの経時的変化等との比較を行う。内因性OTを測定するための試薬や被験者への謝金に充てる予定
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