研究課題
【目的】妊娠高血圧症候群と診断された産後の母親は育児を行いながら、自分自身の健康管理を行っている特徴がある。この時期に生活習慣の改善に取り組むことで、次回の妊娠や中高年期の高血圧疾患等の再発や重症化予防ができることを期待し、セルフモニタリングの実態を明らかにした。【方法】研究データ収集は、関東甲信越2施設、関西1施設、九州1施設の総合周産期母子医療センターおよび地域周産期医療センターで行った。産後1か月までは、各々の施設の母性看護専門看護師や看護管理者である研究協力者と連携し、研究参加者の募集を行い同意の得られた産後の母親を対象とした。2020年の研究開始時からCOVID-19 の影響を受け、研究参加が対面が困難となった。そのため、2021年から退院後はWeb収集への変更を行った。産後入院中、2週間、1か月、2か月、3か月、6か月、1年、1年6か月と縦断的に調査(血圧、体重、就労、睡眠、疲労感、塩分摂取、授乳、母子の健康への心配事、保健行動等)のセルフモニタリング結果を入力するWebでのデータを収集した。【結果】研究参加者は37名が登録したが、データが1年間継続できた事例は14名(37.8%)であった。メインアウトカムである血圧は収縮期血圧は産後2,3か月で正常域に下降するが拡張期血圧は正常高値で経過した。体重は肥満・痩せ各1名、その他は標準群であり、妊娠前と産後1年でのBMIは変化は小さかった。塩分摂取量は、1名を除き推奨量以下の摂取であった。疲労感は産後2か月までは強く、3か月から徐々に軽減した。。就労は3か月から6名が開始し、1年では8名が就業していた。就業の母親の方が疲労感は強い傾向にあった。睡眠は主観的睡眠尺度PSQIによる睡眠効率が疲労に相関がみられた。また、睡眠障害の程度はPSQIカットオフ5.5以上が産後6か月までは60%もあり、産後1年で20%になった。