研究課題/領域番号 |
20K10856
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
城賀本 晶子 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (90512145)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 更年期 / 不定愁訴 / ヘルスリテラシー |
研究実績の概要 |
1.具体的内容:若年者の更年期に対する知識や関心について明らかにし、更年期に関する教育の在り方や親との関係性を考察することを目的に研究を進めた。親が更年期である可能性が高い大学生を対象として、属性、更年期症状に関する知識、親との親密度、親の健康への関心に関する質問紙を用いて調査を行った。その結果、一人暮らしの人は親の体調を気にする程度が高く、更年期に対する興味のある人の方が「親の体調が気になる」と「親に健康でいてほしいと思う」という項目の点数が有意に高かった。若年者が更年期に関する情報を実際に認識する対象として、身近な存在が家族であり、結果として親の体調を気にする人が多くなったと推測する。親の健康への関心が更年期への興味につながり、学ぶ機会を確保し知識を習得するきっかけにもなると考える。 2.意義:更年期症状の改善には、パートナーや家族のサポート、特に夫が妻の更年期の状態を把握することの重要性が指摘されている。しかし、夫婦間の更年期障害への認識に関する研究が多い一方、子どもを対象とした研究は少ない現状にある。そのため、親が更年期である可能性が高い大学生の更年期に対する知識や関心について明らかにし、若年者への更年期に関する効果的な教育方法を構築する手がかりを得ようと考えた。若年者が更年期について正しい知識をもつことで、更年期にある親を理解し、サポートの実践につながることが期待できる。 3.重要性:本研究では、若年者の更年期に関する興味、更年期症状に対する知識、親の健康への関心という3要因について調査し、若年者への効果的な更年期に関する教育方法について考察した。若年者に対しては、更年期に興味を持つことができるような教育方法の検討が必要であり、さらに学んだ知識を実際に結び付けることのできる機会の提供が重要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染症対策のため人との接触に注意が必要なことから対面でインタビューを伴う質的調査の実施が困難であった。今後はインターネット上で行うなど方法を再検討していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画書に則り、感染対策に留意しながら研究を進めていく。 まず、40~59歳までの女性を対象とし、ヘルスリテラシーに関する質的調査としてインタビューを行っていく。インタビュー内容から更年期女性のヘルスリテラシーに関連した要因を導き出し、予備的尺度を作成する。その後、予備調査を行い、項目の精整を行った後、本調査を行う。本調査では、対象者の年齢や生活背景について明らかにする属性調査用紙と考案したヘルスリテラシー尺度、既存の日本人の成人を対象として作成されたヘルスリテラシー尺度(HLS-EU-Q47 Japanese version3)など)及び更年期自覚症状測定尺度を用い、留め置き法又は郵送法により回答を求める。 本調査で得られたデータは、質的調査から導き出された更年期女性のヘルスリテラシーに関連した要因がデータと適合しているか、確証的因子分析を行い、尺度の妥当性を検討する。内的整合性はクロンバックのα係数を用いて解析し、さらに再検査法により信頼性分析を行う。また、既存のヘルスリテラシー尺度と相関があるか確認し、構成概念妥当性について検討する。更年期自覚症状とヘルスリテラシーとの関連については、Pearsonの積率相関係数を求めて解析するほか、多変量解析の手法を用いて明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症対策のため人との接触に注意が必要なことから対面でインタビューを伴う質的調査の実施が困難であった。そのため人件費・謝金に関する支出がなく、次年度使用額が生じた。今後はインターネット上でインタビューを行うなど方法を再検討していく予定である。
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