研究課題/領域番号 |
20K10857
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐々木 規子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (90315268)
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研究分担者 |
中込 さと子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (10254484)
森藤 香奈子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (70404209)
渡名喜 海香子 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (10818321) [辞退]
宮原 春美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 客員研究員 (00209933)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プラダー・ウィリ症候群 / 社会的適応 / 当事者 |
研究実績の概要 |
当初、本研究は成人期Prader-Willi 症候群(以下、PWS)のある人を主体におき、PWSに特有な感情調節や行動上の問題をコントロールするための当事者プログラムの開発を目指したが、新型コロナ感染症の拡大予防の観点から適正な実施、評価が困難と考え、令和3年度、計画を修正した。発達課題を考慮した連続性、継続性のあるプログラムを目指し、全てのライフサイクルに目を向け、まずは、就学前から思春期前期までのPWS児に主体をおいた。本研究は学童期にあるPWS児の親と教員との協働内容の記述を通して、社会生活開始時の移行期プログラム案を作成することを目的とする。 今年度は前年から3組を追加し、総勢13組の就学前を含む学童期のPWS児を対象とした。親に約1時間のオンラインまたは電話によるインタビュー調査をのべ28回実施した。PWS児13名は通常学級2名、特別支援学級5名、特別支援学校3名、保育園・幼稚園3名に通学・通園していた。親たちが学校に望むことは、「学校に楽しく通学すること」、「安全に過ごせること」、「自分の意思を伝えられること」等、であった。親は、学校生活の中にも視覚的ツール(予定表、行動ルールの表示、等)を提案するなど、子どもが安心できる環境や対応を提案、情報提供していた。また、日常生活行動(着替え、排泄等)が未確立の児の親の中には、学校と情報共有しながら、子どもの行動獲得に向け協力している者もいた。一方では、学校の提案をきっかけに我が子ができることを知り、過小評価していることに気がづいたという親もいた。支援学級や通常学級に通学する児の親は、高学年になるにつれ、同級生との成長に差を感じ、同級生が次第に距離を取っていると感じていた。そして、就学前および小学校高学年の全ての親は、進学先の決定に苦慮していた。 PWS児の成長段階に応じた課題があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度より研究対象を学童期にあるPWS児に変更した。PWSの特性とニーズを把握するために、PWS児の保護者に追跡面接調査を実施し、13組の研究協力が得られている。PWS児の学年に偏りがあり、学童期のPWS児を反映するには十分なデータを得られていない。今後も研究協力依頼を行い、対象者を増やしていく。
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今後の研究の推進方策 |
PWS児の保護者に、学期毎あるいは定例個別面談の時期等に合わせて、面接調査を引き続き実施する。新型コロナ感染症による行動制限が緩和したため、これまでのオンライン面接調査に対面による面接調査を追加し、生活環境の実態調査も実施していく。 面接調査から集積したデータを、子どもの年齢や発達段階ごとに子どもの心身の成長、保護者及び教員の教育ニーズ、教員によって行われた対策等、について評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査は対面での実施を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大予防のためにオンラインでの実施となった。そのため、旅費は使用せず、オンライン調査を行う環境整備のための費用を支出したが、旅費よりも支出額が少なく、残が発生した。 次年度以降の面接調査は、新型コロナウィルス感染症の行動制限緩和に応じて対面で実施する。現在、研究協力が得られている13名は、東北、関東、中部、関西に居住しており、主に調査の旅費としての使用を計画している。
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