研究課題/領域番号 |
20K10860
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 朝美 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50384889)
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研究分担者 |
下道 知世乃 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30845962)
藤塚 真希 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80805888)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 重症心身障害児 / コミュニケーション / アドバンス・ケア・プランニング / 支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、重症心身障害児が家族や看護師などの支援者と一緒にケア計画を話しあい立案する「アドバンス・ケア・プランニング」支援モデルを開発することである。 昨年度は、研究者の開発した「重症児コミュニケーションモデル」に関する研修を実施し、今年度前半は、その対象者にオンラインでデータ収集法と分析トレーニングを実施し、研究チームで研究倫理審査計画書を検討した。しかし、長期化している新型コロナウイルス感染症の流行により調査の実施許諾が得られなかった。また、ウイズコロナ時代となり、ケア現場では距離を保ちながらマスク越しに行うコミュニケーションが求められ、接触回数を最小限にとどめ感染予防を行う生活様式に移行した。微かなサインをもとにコミュニケーションを行う重症心身障害児の意思疎通はますます難しい状況となった。 そこで、本研究は非接触型ICTを用いたコミュニケーションによるACP支援に計画変更し、その可能性を検討することとした。そのため、非接触状態でセンシングできるAI技術を持つ研究者らと新たにチームを構成し、ICTを用いた重症児コミュニケーションモデルの開発、AI技術を活用したサイン可視化システム開発の可能性を検討した。会議は4回実施し(オンライン含む)、「重症児コミュニケーションモデル」「コミュニケーションサインを可視化するためのAI技術」の融合について共有した。また、AI検出に対応できるサインデータへの変換が必要となるため、データをセンシングデータに変換する技術指導を受け、これまでのデータから模擬的に分析を試み、今後の計画上の課題を整理・確認し、新たな研究方法を検討した。 これらをもとに、研究倫理審査計画書を作成し、個人情報保護法改正ガイドライン提示後に計画を提出することになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、昨年実施した「重症児コミュニケーションモデル」の講義受講者のうち希望者にデータ収集と分析の指導をオンラインで実施した。その後、研究倫理申請段階で研究参加を募り、ACP実践シミュレーショントレーニングと、アクションリサーチを行う予定であった。しかし、長期化・深刻化する新型コロナウイルス感染症感染拡大により、対象施設から研究許諾が得られない状況が続いたこと、重症児は易感染傾向にあるため施設の9割がオンライン面会に変更している現状やその研究データを踏まえ、従来の「重症児者コミュニケーションモデル」を活用しACP実践を行うことは当面難しいと判断し、計画変更を検討した。 AI技術者研究者との研究チームを再編成し検討した結果、非接触型のコミュニケーションモデルを構築できる可能性が見出されたため、計画修正することとした。そのため計画がやや遅れている。現在は、AI検出器が重症児のサインを取り扱い可能な形にするための分析法の指導をAI技術研究者より受け、これまでのデータを模擬的に分析し、計画における課題を確認した。これらをもとに、研究計画を立案し研究倫理審査に提出する予定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、非接触型のICT技術を用いて子どもの意思や感情を可視化する技術を開発し、オンラインやガラス越しでも重症児の感情や意思を可視化することで、誰もが重症児とのコミュニケーションできる技術を開発しACPを支援する計画に修正することとした。 これまでの「重症児者コミュニケーションモデル」の構造をもとにAI技術を用いてサインを可視化できれば、最終的にACPを支援するモデル開発と支援を目指すことが可能となる。AI技術研究者らとチームを再構成し、ICTを用いた重症児コミュニケーションモデルの開発、サイン可視化システムの開発を、異分野融合研究として取り組むこととした。 研究倫理審査計画書は、非接触型ICT技術を用いた意思推定開発を加え、最終的にはACP支援の実装化を目指すことを目標として、今年度は「サイン推定モデルの構築」までを計画立案、実施する。研究倫理審査計画書は、個人情報保護法改正ガイドライン提示後に計画を提出する。
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