本研究は、災害時の要配慮者である妊産婦が自然災害への知識を身につけ、災害時には自ら危険を予測し、主体的に回避する自助能力を高め、被災後の生活を見据えた備えを養うことができる妊産婦を対象とした体系的な防災教育プログラムの開発と評価である。第1段階では災害における妊産婦の現状と課題を抽出し、教育プログラムに必要なニーズと学習目標を検討した。第2段階では、妊産婦の災害への備え行動に対する関連因子を探求し、備え行動の促進因子をもと、教育プログラムに求められる方法や内容を検討した。教育プログラムには、先行研究で指摘されている自分自身にも起きるという「わがこと意識」の育成・向上、備えようという行動意図、そして「自分にもできる」いった行動コントロール感を持てる内容も含めた。第3段階では、妊産婦の相談窓口である周産期医療施設での防災対策と妊産婦への防災教育の実態を明らかにした。周産期医療施設では妊産婦への防災教育の必要性を理解していても十分実施できていない現状と課題を確認した。周産期医療施設での防災教育の内容や場(機会)の情報をもとに、妊産婦への防災教育を実践していく際に求められる施設側のニーズを抽出した。以上の調査をもとに防災教育プログラムを作成した。ここでは、災害は自分自身にも起きるという「わがこと意識」による備えに対する意思の向上や、自分でもできるといった自己コントロール感の獲得を目的とした独自のシミュレーションゲームを開発した。教育内容には、普段の生活・育児にも取り入れられる防災対策の具体的な紹介も含めた。結果、妊産婦は災害への備えに対する知識を身につけ災害へのわがこと意識が改善され、備え行動が向上した。本研究で開発した防災教育プログラムは、妊産婦が災害に関する知識を身につけ、自らの命と健康を守るための防災力、被災後の生活を見据えた備え行動の育成に有効であることが示唆された。
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