研究課題/領域番号 |
20K10870
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
中垣 紀子 和洋女子大学, 看護学部, 教授 (10300055)
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研究分担者 |
鈴木 和香子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (40649638)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リフレクソロジー / 重症心身障害児 / 重症児の母親 |
研究実績の概要 |
本研究では、普段足への刺激を受ける機会が少ない重症心身障害児(以下重症児)に、継続的にリフレクソロジーを施行することで、身体面・精神面にどのような効果をもたらすかについて明らかにすることを目的としている。本年度は、研究者らが作成した冊子(A5版、16ページ、図や写真で説明、主な内容は①リフレクソロジーとは②重症児に対する実施③施術にあたっての注意事項④具体的手順⑤手のつかい方⑥施術後の注意事項等)を活用して、1か月間、重症児の母親に自宅で実施してもらった。その後、重症児の母親に質問紙およびインタビューによる調査を実施した。質問紙からは、表情がやわらいだ、末梢冷感や排泄の改善、筋緊張の軽減などの効果を感じていた等の回答を得た。また、インタビューから得た回答は、リフレクソロジー実施後の変化について、今まで気づかなかった変化を感じとっていた、精神面での効果について注目していた。重症児だけでなく、母親自身にとってもゆったりした時間を持てた、リフレクソロジーに期待をしたいなどであった。リフレクソロジーは、重症児の安楽を促す援助の一つとして有効であることが示唆された。 2022年3月にリフレクソロジーの講習会を感染対策をし、実施した(名古屋市)。対象は、児童発達支援等の施設に通所する重症児とその家族15名、施設スタッフ10名であった。内容は、講義「リフレクソロジーで、どんな効果があるか」、実践「親子、スタッフでリフレクソロジーを体験しよう」というテーマであった。成長している子どもであることを意識し、生活上の不快さ、身体上の歪みを予防することや本人の改善への意欲を促すことに留意した。参加した保護者からは、「イメージしていたよりゆっくり、やさしい刺激でリラックスすることができました。冷たかった足がじんわり温まり、緩んでいくのを感じました。 自宅でも、取り組んでいきたい。」という感想があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は、リフレクソロジーは、重症心身障がい児(以下、重症児)と診断されている幼児にどのように効果をもたらすか具体的に明らかにすることである。この研究から導き出された結果をもとに、重症児(幼児)が、障がいの悪化を防ぎ、苦痛のない、より安楽な日々を過ごし、成長することができることをめざす。 重症児(幼児)に、早期に個々に合ったリフレクソロジーを実施することで、その児なりに健やかに成長し、苦痛のない心穏やかな生活をするための身体の機能および生活リズムの安定に、より効果がみられるのではないかと考えた。今回の研究では、重症児(幼児)にリフレクソロジーを実施し、測定器具は一切装着せず、生理的変化(自律神経機能)を非侵襲的に苦痛なく記録できるサーモグラフィを用いる。また、家族にリフレクソロジー実施後の身体的症状や表情等の変化および効果について、インタビューによる調査を実施する。サーモグラフィによる結果とインタビューによる調査結果を合わせて考察し検討することである。しかし、昨今の新型コロナ感染症の感染拡大を回避するため、本研究において、重症児への接触は、避けざるを得ない状況であると判断をした。つまり、本研究の遅れている理由は、新型コロナ感染症の感染拡大を避けるためである。
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今後の研究の推進方策 |
重症児は、感染症に対する抵抗力が弱いと考えられ、感染すれば、重症化するリスクが高い。そのため、新型コロナ感染症の感染拡大が沈静化したら、対象施設及び重症児の保護者の了解を得て、本研究を遂行したいと考えている。ちなみに研究者は、新型コロナワクチンを3回接種済である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も新型コロナ感染症の流行が続いていたため、抵抗力が弱い重症児の子どもたちへの接触を避けた。次年度は、感染の状況をみて、施設長と相談しつつ、保護者の了解を得て、予定していた調査ができればと考えている。研究者らは、新型コロナのワクチンを3回接種している。調査の内容は、生理的変化(自律神経機能)を非侵襲的に苦痛なく記録できるサーモグラフィを用いる。また、家族にリフレクソロジー実施後の身体的症状や表情等の変化および効果について、インタビューによる調査を実施する。サーモグラフィによる結果とインタビューによる調査結果を合わせて考察し検討する。
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