研究課題/領域番号 |
20K10878
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高田 ゆり子 筑波大学, 医学医療系, 名誉教授 (90336660)
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研究分担者 |
坂田 由美子 筑波大学, 医学医療系, 名誉教授 (30347372)
大宮 朋子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90589607)
出口 奈緒子 筑波大学, 医学医療系, 助教 (20824204)
菅原 直美 常磐大学, 看護学部, 講師 (50786126)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発達障がい / 中学生 / 健康支援スキル / 通常学級 / プログラム開発 / 養護教諭 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、発達障がい(疑いを含む)のある中学生に養護教諭が適切な支援をするためのプログラムの開発である。2021年度は発達障がいのある生徒に対する養護教諭の健康支援の実態を明らかにするために、2020年に実施した質問紙調査の有効回答193を分析した。 養護教諭が実践している合理的配慮に関する質問10項目の因子分析を行った結果、『認知や理解の程度に応じた対応』、『服薬指導・健康診断時の対応』、『対人関係スキルの指導』の3因子が抽出された。さらに発達障がいのある生徒に接するときに養護教諭が工夫していることについて自由記述式回答の記入があった105人(52.5%)のデータを質的に分析した。その結果230のデータが抽出された。自由記述のデータを類似内容でコード化した結果、『話し方や説明の仕方の工夫』が92(40.0%)と最も多く、次いで『自己肯定感をあげるような関わり』37(16.1%)、『教職員との連携』21(9.1%)、『特性に応じた対応』13(5.7%)の順であった。少数意見としては『他の生徒が不平等感を感じないような対応』、『養護教諭自身が感情的にならない』などが記載されていた。一方発達障がいのある生徒への支援で養護教諭が感じている困難感に関する質問16項目の因子分析を行った結果では、『集中できない、不注意、衝動的などの注意欠如多動症の特徴』と『コミュニケーションの障害、対人関係や社会性の障害、こだわりや興味の偏りなどの自閉症スペクトラムの特徴』の2因子が抽出された。 発達障がいの特性は個々に異なるため、その生徒の状態を見極めて個人に必要な支援を行うことが必要である。そのための基盤として発達障がいを理解すること、特性に応じた具体的な支援方法を学ぶことが重要であることが調査結果から示唆された。今後プログラム内容にこれらを反映し研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大により対面形式での研修会の開催が困難となりデータの収集ができなかった為
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今後の研究の推進方策 |
当初計画したプログラム評価のための研修会については調査票など他の方法を検討する。また発達障がいのある生徒への養護教諭の支援は一人一人ニーズが異なるため、生徒の養育者のニーズを把握することも重要である。2022年度は養育者の支援ニーズを把握するための調査を実施し、養護教諭の支援プログラムの資料とする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度実施予定であった研修会が開催できなかったことにより次年度への繰り越しが生じた。2022年度は養育者が求める支援ニーズの調査費用、データ入力のための人件費、学会参加費等に使用する計画である。
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