研究課題/領域番号 |
20K10883
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
内海 千種 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (90463322)
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研究分担者 |
横谷 謙次 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (40611611)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Sexual Victimization / COVID-19 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、性暴力被害経験者等のメンタルヘルス検討のための基礎データを収集するため、COVID-19感染拡大による緊急事態宣言が国民のメンタルヘルスに及ぼす影響について調査を行った。 第3回(2021年6月)の緊急事態宣言下で、11,453名を対象にオンライン調査を行った結果、全体的にはそれまでの緊急事態宣言時よりもメンタルヘルスの改善傾向が認められたが、COVID-19感染拡大前の平常時よりはまだ悪化の状態が続いてる状態であった。メンタルヘルスについては少しずつ改善している一方で、社会的孤立状態の悪化が顕著であることが認められた。特に若年層(18-29歳)では、他の年齢層に比べて最もメンタルヘルスが悪化しており、希死念慮が増大し続けていることが特徴として明らかとなった。 また、対面での様々な交流が制限されているなかで、ネット上での性加害行為に関して検討するため、オンラインソーシャルネットワークを用いている129,164名のデータについて分析を行った。その結果、性加害行為はオンライン上でも加害者と被害者を通して伝播することが分かった。さらに、オンライン上での性加害行為は、これまでのログに基づいて、加害者の割り出しと、彼・彼女らの犯行時刻を予測出来ることが明らかとなった。オンライン上での性加害者に対しては、永久アカウント停止が当人及びその友人の性加害行為の防止に役立つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大により、対面でのプログラムの実証実験が困難であったため、前年度に続いて感染拡大による心理的影響について検討を行った。またオンライン上のデータを使用して、ネットいじめの中の性加害行為について分析を行った。上記の通り、感染拡大により当初予定とは内容を変更せざるを得ない状況ではあったものの、基礎データとなるCOVID-19感染拡大下の国民のメンタルヘルスデータや、今後さらに必要になると考えられるネット上での性加害行為についての検討は行えている。
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今後の研究の推進方策 |
現状を鑑みるに、COVID-19感染がすぐに収束することは考えられず、協力者への対面での調査説明がかなわないことから大学生を対象にした大規模調査は差し控えることとし、 引き続き可能な限りオンラインを利用した調査に切り替えることとする。また当初予定で計画していた実験は、感染拡大前に計画されていたものであり、現状を踏まえた修正が必要であると考えられる。よって、これまでの調査結果を踏まえ、実施内容を再検討した上で、出来る限り実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大により、当初予定していた年度初めの調査をうけての追跡調査や、対面での実験を実施することができなかった。そのため、実験用の機材や参加の謝金などの予算を次年度に繰り越すこととなった。 次年度、当初予定の実験計画の修正とともにオンラインのみで完結出来る調査に計画を修正、実施することで、今年度繰り越し分を使用する予定である。
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