研究課題/領域番号 |
20K10890
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
楢木野 裕美 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (90285320)
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研究分担者 |
岡崎 裕子 大阪府立大学, 看護学研究科, 講師 (00382250)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療的ケア / 不適切養育 / 乳幼児をもつ親 |
研究実績の概要 |
親の育児力が低下、医療的ケアが必要な乳幼児が入院治療から小児在宅医療へ移行している現状を踏まえ、本研究は、親子に関わる医療機関・地域の専門職がホリスティックに親の不適切養育行動をアセスメントする指標の開発を目的とする。今年度は、第Ⅰ段階の面接調査の続行、親の不適切養育行動アセスメント指標原案の作成、第Ⅱ段階では、原案の表面妥当性・内容妥当性の検討である。 第Ⅰ段階の続行 専門職への面接調査:研究参加者は、看護師、小児科医、保育士、訪問看護師、保健師に面接を続行した。前年度を含め計20名の面接データを分析した。医療的ケアを要する乳幼児をもつ親の不適切養育行動として5カテゴリーを抽出した。文献検討、面接調査をもとに、医療的ケアが必要な乳幼児をもつ親の不適切養育行動の定義をし、5下位概念からなる医療的ケアが必要な乳幼児をもつ親の不適切養育行動アセスメント指標原案を作成した。 第Ⅱ段階 : アセスメント指標の表面妥当性・内容妥当性の検討:研究対象は、便宜的抽出法により、医療的ケアが必要な乳幼児と親に関わる看護師・訪問看護師・保健師計6人、児童虐待に関する研究者6名の計12名を対象に、研究方法は郵送法による無記名自記式質問紙調査である。調査内容は、研究参加者の属性、医療的ケアが必要な乳幼児をもつ親の不適切養育行動アセスメント指標原案の項目について、各概念と質問項目の文章表現が理解できるか、表現の明確化、回答のしやすさ、他に考えられる質問項目はないか等、概念と質問項目との関連の程度の4段階での回答を求めた。分析方法は、質問項目の内容は妥当か、表現の適切性、追加項目等意見を集約し、項目内容の精選をした。概念と項目の関連は、I-CVIを算出し0.78未満の項目を削除した。 医療的ケアを要する乳幼児をもつ親の不適切養育アセスメント指標案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)第Ⅰ段階の続行、専門職への面接調査:前年度実施できなかった面接調査について、予定していた研究参加者である看護師、小児科医、保育士、訪問看護師、保健師の調査を終了でき、前年度10名を含めた計20名の面接データの分析を終了できた。 (2)第Ⅱ段階:不適切養育行動アセスメント指標原案の表面妥当性・内容妥当性の検討について、予定していたケアの実践者と研究者の計12名を対象に、郵送法による無記名の自記式質問紙調査を実施した。「医療的ケアが必要な乳幼児をもつ親の不適切養育行動アセスメント指標原案」の項目について、各概念と質問項目の文章表現の明確化、回答のしやすさ等から表面妥当性、概念と質問項目との関連の程度について、I-CVIを算出し0.78未満の項目を削除することで内容妥当性を検証し、医療的ケアが必要な乳幼児をもつ親の不適切養育行動アセスメント指標案を作成した。以上より、進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
医療的にケアが必要な乳幼児をもつ親の不適切養育アセスメント指標案の妥当性・信頼性の検証と活用について試みる予定である。 1) 医療的ケアが必要な乳幼児をもつ親の不適切養育アセスメント指標案の妥当性、信頼性の検証:研究対象者は 無作為抽出した医療機関・訪問看護ステーション・保健センターで医療的ケアが必要な乳幼児とその親をケアする看護師500 名、訪問看護師100 名・保健師400 名である。研究方法は、親の不適切養育アセスメント指標案等の質問紙を送付し郵送法にて回収する。調査内容は、看護職の属性、医療的ケアが必要な乳幼児とその親との関わり状況、親の不適切養育アセスメント指標案、外部基準となる尺度に関する項目等である。分析方法は、親の不適切養育アセスメント指標案の項目分析、因子分析、項目内容のCronbach のα係数を算出し信頼性を検討する。外部基準との相関分析を行い、併存妥当性をみる。それらの分析結果から親の不適切養育行動アセスメント指標を作成する。 2) 医療的ケアが必要な乳幼児をもつ親の不適切養育行動アセスメント指標の活用への試み:小児看護学会関連の学会でセッションを企画し、学会参加者からの意見を求める、あるいは、研究でかかわりのある看護職者の実践場面における試用により、活用に向けた意見を求めまとめを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、前年度の面接調査を続行し、医療的ケアが必要な乳幼児をもつ親の不適切養育行動アセスメント指標原案を作成し、その表面妥当性・内容妥当性を検証した。その過程で、面接調査のための経費や表面妥当性・内容妥当性の検証のための調査依頼に要する経費を計上していた。しかし、感染予防のため、対面ではなく文書あるいはオンラインによる依頼方法を取り実施した。医療的ケアが必要な乳幼児をもつ親の不適切養育行動アセスメント指標案の信頼性・妥当性を検証するために、質問紙調査を実施するために予算を執行する。
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