本研究の目的は、新たに孫を迎える祖父母の役割の発揮を促す出産前教育を開発し評価することである。出産前教育は、ADDIEモデルを方法論的枠組みとし,ニーズ分析及び目的と構成を考案し,祖父母になる予定の男女を対象にオンラインによる動画視聴および親世代との対話を行うプログラムを構成した。1群の介入前後の自己記入式質問紙調査により,祖父母の役割の発揮に関する認知および情意領域を測定した。結果男女100名を分析対象とした。対象者の年齢は、平均62.5歳(SD=7.4)歳、有職69名(69%)であった。祖父母の役割の発揮に関する認知領域の評価は、すべての項目で介入後に平均点が高く、「祖父母の孫育児の現状を知っている」「孫育児が祖父母の健康に及ぼす影響を知っている」「母親の情緒的支援の方法を知っている」「孫の日常的な世話について知っている」「親世代に対する関わり方を知っている」の項目で介入後に有意に得点が高かった。情意領域は、11項目において介入後に平均得点が高く、「孫育児を手伝いたい」「親世代の相談相手になれる」「孫育児をすることで自分自身の生活も楽しくなる」「孫育児が楽しみだ」「孫が生まれたら家事を支援したい」「孫育児が私にとって生きがいのひとつとなる」の項目で有意に得点が高かった。結論として、開発した祖父母への出産前教育は、新たに孫を迎える祖父母の役割に関する知識習得に役立ち、祖父母の役割の発揮に対する認識を高めることの有用性が示された。
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